動物の消防士が活躍する姿をユーモアたっぷりに描く絵本です。「ぼく」の視点から描かれています。「ぼく」は消防隊隊長のツノメドリです。
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ぼくは、ツノメドリ。 消防隊の隊長です。
新米の消防士は、ヘラジカくん。
ぼくが なんでも おしえてあげるからね。
ぼくたちは勇敢な消防士。
ピーツ!
出動せよ。
2分で出発。
ウ~ ウ~ ウ~ ウ~
火事でないときも出動する。
休み時間にはゲームもできるけど、毎日からだを鍛えているよ。
ごはんは交代でつくる。
ピーツ! ピーツ! ピーツ!
救急車、出動。
救急車もぼくたちの仕事。
あっ、つぎの指令がでた。
こんどは 火事だ!
カメさんのうちから、火がでている!!
カメさんたちは全員無事だった。
あっ!
3階にモルモットくんたちがいる。
21ぴきだ。
1ぴきずつ助けていたら間にあわない。
ヘラジカくん。
きみの出番だ。
3階についたヘラジカくん。
「みんな、ぼくのつのに のってください。ぜんいん いっしょに おります」
すごいぞ。
だれもけがをしなかった。
火もすっかり消しとめた。
これで、きみも、りっぱな消防士。
はい、ごほうびのメダルだよ。
ウ~ ウ~ ウ~ ウ~
新米消防士のヘラジカくんの活躍です。消消防署の部屋の説明、消防道具の使い方、消防士の休憩や食事のことなども書(描)かれています。
また、シャロン・レンタさんの遊び心が見えます。
出動のときにやってはいけないことは「のんびりしてはいけない」ことです。でも、「のんびりしてはいけない」をカメで、「火を出さない」ことを火を吹くドラゴンで描いたところに笑いがあります。
消防士のワンくんの用意するごはんは、いつもドッグフードです。
ガスの匂いの原因がスカンクだったり、
249歳になったかめのおじいさんなどの絵に遊びがあります。
ユーモアになっています。
読者はこれらを発見する楽しみがあります。
ひとりで文と絵を書(描)いている利点が活かされています。 彼女の『どうぶつびょういんおおいそがし』も面白い絵本です。
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※『どうぶつしょうぼうたい だいかつやく』 シャロン・レンタ作・絵、まえざわあきえ訳、岩崎書店 2012年 (2022/5/7)