
ちいさな ちいさな ヤクの ガーティの はなしです。
でも、さいごは、「わたしは わたし!」と気がつきました。
「もっと おおきくなりたいなあ・・・
おおきければ、なんだって できるはずだもん」
「いろんなヤクがいていいの」
と、かあさんはいう。
でも、やっばり おおくなりたい
ガーティは
たくさん たべて
山に のぼったり、すべりおりたり、
なわとびを したりした。
本だって たくさん よんだ
おおきくならない ガーティは かなしくなった。
そのとき・・・
ヤクの群れが、あわてて やってきた。
かあさんが いった。
ガーティ、山の上を見 みて!
てっぺんで うごけなく なっている
こどもが いるの
あのこを たすけられるのは あなただけ!
ちいさくて かるいし、山のぼりも じょうずだもの
ガーティは すぐに 助けに でかけた。
とっとこ とっとこ
ぐんぐん ぐんぐん
のぼって いった。
てっぺんにつくと、
ぶるぶる ふるえている ヤクがいた。
「だいじょうぶ、わたしに しっかり つかまってね」
たすけた ヤクを せなかに のせて
いっきに すべりおりた。

「ガーティ、やったね!」
「ちいさい ヤクにしか できないことを やってくれたねえ!」
ガーティは おかあさんに ほめられ、ほほえんだ
「ちいさいからって、気にすることは なかったのね
いまの おおきさが、いまの わたしに ぴったりなんだわ」
わたしは わたし!
・・・
ガーティなら、からだがちいさいから、雪山にひづめが沈むこともない。山登りもじょうずだといわれました。「ちいさいから、やくにたてる」ことを知ったガーティ。山のてっぺんまで救出にむかうことは、危険をともなうことでしょう。でも、ガーティは、すぐに救出にむかいました。とても勇気のある人物です。そして、山のてっぺんで凍えていたヤクの子どもを助けました。「ガーティ、やったね!」とみんなに褒めてもらいますが、読者の子どもも同感でしょう。
『しょうぼうじどうしゃ じぷた』(渡辺茂男文、山本忠敬絵、福音館書店、1966年)と似たような世界です。
・・・
※『ちいさな ちいさな ヤクのガーティ』 ルー・フレイザー文、ケイト・ヒンドリー絵、三原泉訳、岩崎書店 2022年 (2025/3/19)