ふるはしかずおの絵本ブログ3

『だいすきな先生へ』- 先生になる「わたし」

大好きだった先生に送る手紙形式の絵本です

 

 

しんあいなる先生へ

 

わたしを おぼえていらっしゃいますか

しずかにすわって 人の話を聞かなければ ならない学校が

だいきらいだった わたし

 

 

ネズミ兄弟の 世話をする人といわれ、手をあげたけど、

ネコのルーシーに 一ぴきを 食べられてしまった

わたし

お店で買って そっと もどしたことを

先生は お見通しだった

  

   

本を読むことが 苦手な

わたしに やさしく おっしゃった

   

 「ねこの ルーシーに、毎日、本をよんであげなさい

  いたずらをしなくなるわよ」

   

    

3月

野外研修で ふるい家の地下室に ひとりで おりていったとき、

先生は、わたしを さがして

くらい階段を おりてこられ、

「かんにんぶくろの、おが切れた」と おっしゃいました

  

    

春のあいだ

わたしたちは 畑の草取りや 水やりをして

野菜を そだてました 

  

夏休みの前

育てた野菜で サラダを つくって、

みんなを しょうたいしました

 

2年生の さいごの日

思い出を あつめて、

1まいの絵にして、先生に プレゼントしました

    

 「ありがとう。みなさんを けっして わすれないわ。

  2年生のやさいばたけもね」

   

 「わたしも」

 

   

そして、今でも、わすれてはいません

 

 先生が、わたしをたすけてくださったすべてのことを

 わすれず、先生のようになれるよう、さいぜんをつくします

    

           ・・・

小学校二年生のときの「わたし」は、落ち着きがなく、手のかかるおんなのこでした。先生は、「わたし」をやさしくみまもり、導いてくれました。絵本の文章は、教師の仕事につこうとする「わたし」が、2年生のときの担任の先生にあてた手紙です。

        

今と過去の「わたし」の二重の視点です。今と過去から、先生のことを思いだし、ふりかえっています。それが手紙に奥行きを与えています。また、情感がこもった手紙です。あらすじの紹介ですので、絵本をお読みくださればと思います。

    

         ・・・

※『だいすきな先生へ』 デボラ・ホプキンソン文、ナンシー・カーペンター絵、松川真弓訳、評論社 

2019年  (2025/6/17)

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