ふるはしかずおの絵本ブログ3

『せんたくかあちゃん』- ダイナミックな洗濯!

魅力的な人物、せんたくかあちゃんの痛快なおはなし。

       

     

かあちゃんは、洗濯するのが 大好き

  

 「きょうも いいてんきだねえ」

   

かあちゃんは

ズボン、チョッキ、くつした、パンツ、シーツ、まくらカバーも、みんな、たらいに 放りこみました。

       

    

洗い物が なくなると 子どもたちに

なにか あらうものを さがしといで

    

ねこ、いぬ、とりたちは

「せんたく されちゃうぞ」と、逃げまわり

騒ぎを聞いて、げた、くつ、かさ、スリッパも 逃げだします

 

 とまれ!

     

みんな心臓が どっきり うごけなくなりました

かあちゃんは みんな たらいに ほうりこみ

ごしごし ごしごし

森の木に 縄をはり

みんな、干しました

いぬも ねこも こどもたちも・・・

  

   

 「すげえ すげえ。へそが いっぱい ほしてあるぞ

   

空で かみなりさまが いいました。

      

  

ビカッ バリ バリ バリッ

かみなりさまが 落ちてきました

でも

かみなりさまは、物干しの縄に 引っかかって、

身うごきが 取れません

    

  

かあちゃんは 

かみなりさまも せんたく しました

あらい終わった かみなりさまは

しわくちゃ 

目も
はなも
くちも
消えて しまいました。

子どもたちが クレヨンで かくと

いい男の かみなりさまが でき上りました

 

  

次の朝、

ビカッ ガラガラ ドシーン ドンガラ ドッシーン

かみなりさまが いっぱい 空から おちてきました

     

 「せんたくしてくれえ、あらってくれえ」

 「いいおとこにしてくれえ」

    

かあちゃんは はりきって いいました

 

 よしきた まかしときい

 

              ・・・

野外の洗い場、たらい、洗濯板、バケツで洗濯するかあちゃん。時代を感じさせる設定ですが、それだけに、かあちゃんの豪快なせんたくが際立ちます。また、洗った洗濯物を、森の木になわを張って、干す場面の絵が秀逸です。子どもたちまで、はだかで干されています(上の絵)。読者は、なにが干されているか、見つけるたのしみがあります。

   

かあちゃんは、かみなりさままで洗ってしまいました。かみなりさまは、目、鼻、口がなくなってしまいましたが、子どもたちがそれらを描いて、いい男になるというユーモア・笑いもあります。せんたくかあちゃんの豪放磊落な性格と行動が魅力の絵本です。

             ・・・

※『せんたくかあちゃん』 さとうわきこ 福音館書店 1982年 (2025/7/15)

SHARE