
絵本のサブタイトルは
「自閉症スペクトラム(ASD)のすずちゃんの、ママからのおてがみ」。
保育園を卒園するとき、すずちゃのママが、子どもたちに宛てた手紙です。
すずちゃんは
年長の ゆりぐみさんに なっても
おしゃべりが できません
スプーンを うまく つかえません
きゅうに ないたり わらったり
かみついたりすることも あります
うごきも へんてこりんです。
どうしてかな?
生まれた時から 「のうみそ」が
ちょっとだけ みんなと ちがうから
ぴっぴ、ぴい――――って
みんなとは ちがう しれいが
でるときが あるの
のうみその しれいが うまく はたらかないことを
「しょうがい」って いうよ
みんなが うたったり おどったりするのを
みているが だいすきな すずちゃん
うたも おどりも
おうちの かがみのまえでは まねしているんだよ
ほいくえんでは やらないのにね
おなじ 小学校には いけないけど
みんなとの おもいでが いっぱい!

すずちゃんが おしゃべりできたら、きっと こういうよ
ありがとう!
みんなと いられて よかったな、
みんなに あえて よかったな
・・・
「ねえ、すずちゃんママ。すずちゃんはどうしてゆりぐみさん(年長)なのに、くつを自分ではけないの? どうしてしゃべれないの?」という子どもの疑問に、すずちゃんの母親が、子どもたちへ宛てた手紙という形式の絵本です。
すずちゃんのことをすべて紹介できませんが、すずちゃん対する母親の愛情と自閉症とは何かについて、よくわかりました。巻末の「付録」「あとがき」に、自閉症スペクトラム(ASD)に関して、作者、監修者の解説、ことば、メッセージがあります。とても参考になります。
自閉症スペクトラム(ASD)とは、わたしたちの文化の中で生活している異文化の人々だという指摘がありました。また、すずちゃんと一緒に保育園生活をおくった子どもたちも、たくさんの思い出を持ったことでしょう。
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※『すずちゃんののうみそ』 竹山美奈子文、三木葉苗絵、宇野洋太監修 岩崎書店 2018年 (2025/6/29)