
ごきげんな ライオンが、奥さんを みつける はなしです。
・・・
いつもは ごきげんなのに、
げんきの ない ライオンくん。
というのも・・・
らくだくん
かばくん
くまくん
しまうまくんには おくさんが いるのに
どうして ぼくだけが、
ひとりで いなくちゃ ならないんだ!
ある日
街に やってきた サーカスで
ライオンくんは、
世界で いちばん うつくしい ライオンに 出会いました。
やさしい みどりいろの 目は ちょっぴり 眠そうで
毛皮は かがやく ばかりです。
ライオンの 王女さまの ようです。
見つめあう ふたり。
つぎの日の 夜
ライオンくんは、王女さまの おりの戸を あけ
ライオンくんの 動物園の 家の
奥深くに 彼女を かくしました。
みんなは サーカスの ライオンを 捜しました。
森のなか、はしごの下、地下の物置き、くらい路地、材木置き場のかげ、ベッドの下、鳥ごや・・・
でも、見つかりません。
とうとう、ライオンくんの ところにも やってきました。
「ここには いない ようだね」
「そうですな」
おんなのこが 大声を あげました。
「みてよ。ライオンさんに しっぽがふたつもあるわ!」

フランソワくんが いいました。
「つれてかないで。ライオンくん、ひとりぼっちで さびしかったんです」
町長さんは、
サーカスの団長さんに お礼を さしあげ
かわりの ライオンを かってもらうことに しました。
みんな、そのとおりに なりました。
ライオンくんは、
世界一美しい ライオンといっしょに くらすことになりました。
そして、フランソワくんとも 大のなかよしに なりました。
・・・
しっぽが2つもあるライオンはいません。子どもも知っています。ユーモアのある文章と絵です。奥さんを隠していたことは見つかってしまいましたが、まわりのひとたちの善意によって、ふたりはいっしょに暮らすことになりました。ライオンくんは、うつくしい奥さんと、これからたのしく暮らすことでしょう。めでたしめでたし。
・・・
※『ごきげんなライオン しっぽがふたつ』 ルイーズ・ファティオ文、ロジャー・デュボアザン絵、今江祥智訳、BL出版 2009年 (2025/3/19)