「ごきげんなライオンくん」シリーズの最終巻です。

ある日、

ライオンくんは　前足を　けがをして、

病院で　てあてを　してもらうことになりました

　　　

おくさんライオンは、ライオンくんがいなくて　さびしかったけれど、

おもしろがっても　いました

なぜって？

ライオンくんがいないので

お客さんは　ほとんどいないし

あいさつを　するひとも　めったにいなかったからです

　　

　「わたしには　たてがみがないから　にんきがないのね」

　　　

　「そのとおり・・・

　草や花で　りっぱな　たてがみを　つくってはどうです」と

　ともだちの　からすが　いいました

　　　　　

　「あらま、おもしろそうだこと」

　　　

どうぶつたちは、みんなで　草花をあつめ

色とりどりの　はなやかな　たてがみを　つくりました

　　　

おくさんは　おおよろこび

　　

　　　　

「花のたてがみ」のライオンを見ようと

たくさんの人が　あつまってきました

おくさんは　すっかり　ごきげん

　　

　　　

草花だと　枯れてしまうよ、と

フランソワくんが　いいました

フランソワくんは、美容院で　ながい　かみの毛をもらい

色とりどりの　糸で

たてがみを　つくりました

　　　　

おくさんは　どうぶつえんの　トップスターです

さいこうに　ごきげんでした

　　　　

　　　

足が治った　ライオンくんが　かえってきました

岩のてっぺんに　りっぱな　たてがみのライオンを見つけ

あいつを　やっつけなくちゃと　思いました

　　　　

　　　

すると

りっぱな　たてがみの　ライオンが　岩から

かけおり、ライオンくんに　すりよってきました

　　　

　「あれまぁ！　ぼくの　おくさんじゃないの！」

　「きまっているでしょ」

　　　

おくさんは　ライオンくんに　これまでのことを　はなしました

ライオンくんは　大笑いです

　　　

おくさんは　もとのすがたに　もどりました

ライオンくんの　たてがみに　ほほを　すりよせました

　　　　　

　「大すきよ。わたしは　ごきげんなライオンの　おくさん」

　「ぼくだって、大すきさ。ぼくは　きみの　ごきげんなライオンさ」

　　　　　　

　　　　　

お客さんたちは　おおよろこびで　手をたたき　

ごきげんなライオン夫妻に　キスを　おくりました

　　　

　　　　　　　　　　　・・・

足を怪我して、ライオンくんが病院で手当てをしてもらっている間、「花のたてがみ」のライオンのおくさんは、動物園のスターになりました。でも、帰ってきたライオンくんに、岩からかけおり、すりよるおくさんです。ごきげんなライオンとおくさんの夫婦愛をあたたかく、ユーモアいっぱいに描いていて、「ごきげんなライオン」シリーズの最終話にふさわしい内容でした。

　　　

ライオンの夫妻は、ルイーズ・ファティオとロジャー・デュボアザン夫妻とかさなります。

　　　　　

　　　　　・・・

※『ごきげんなライオン おくさんにんきものになる』　ルイーズ・ファティオ文、ロジャー・デュボアザン絵、今江祥智＆遠藤育枝訳　ＢＬ出版　2013年　　（2025/10/25）