おとうさんの 畑仕事のお手伝いをすることになった くんちゃんです。
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「ぼくも はたけのしごとの おてつだいしていい?」
「ああ、いいとも」
くんちゃんは、
種をまいたばかりの 畑を くまでで
土を ひっかき はじめます。
「だめ、だめ!」
こんどは
じょうろで
畑の まわりの雑草に 水を かけてしまいます。
「ちがう、ちがう!」
とうがらしの花を つんでしまう くんちゃん。
「ちがう、ちがう!」
くんちゃんは、失敗ばかりです。
くんちゃんは
畑の はしに すわり 考えました。
そして、
おとうさんの することを じっと 見ていました。
くんちゃんは もう一度
じょうろで 種に 水をまき、
草を ぬき
花を ひとつ つみました。
とうがらしに 覆いを かけ、
作物を荒らす ウッドチャックを 追いはらい
虫を 食べてくれる ことりに 笑いかけました。
おとうさんは 言いました。
「それでいい。なかなか うまいじゃないか」
くんんちゃんは
ぱっと かおを かがやかせました。
摘んだ 花は おかあさんに あげました。
子どもに、失敗はつきものです。
「だめ、だめ!」「ちがう、ちがう!」と言われたくんちゃん。くんちゃんは、どのようにしたらよいのか、おとうさんの畑仕事を見ました。そして、おとうさんのしていることを学んだくんちゃんは、じょうろで水をやり、草をぬき、とうがらしにおおいをかけ、ウッドチャックをおいはらいます・・・ きちんと畑仕事ができました。賢いくんちゃんです。
また、おとうさんは、無言でお手本を示していました。じょうずにできたくんちゃんをほめることも忘れていません。
おとなの読者は、子育てにおいて大切なことを学びます。
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※『くんちゃんの はたけしごと』 ドロシー・マリノ作、間崎ルリ子訳、ペンギン社 1983年 (2024/7/16)