イギリスの古生物学者・アリー・アニング(1799-1847)の伝記絵本です。
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メアリ―は、
家が貧しく、化石や貝がらを 観光客に 売って
生計をたてて いました。
ある日
メアリーと にいさんは、
1メートル20センチもある、巨大な頭の骨を
発見し、掘りだしました。
頭の骨があるなら、からだの骨も あるはずだと
メアリーは 考えました。
なかなか 見つかりません。
1年後の 大嵐のあと、
海岸の崖に
あばら骨、背骨を みつけ、掘りはじめました。
「怪物のほね」は、
イクチオサウルスと なづけられました。
「さかなトカゲ」という意味です。
何百万年前の むかしの 骨でした。
この発見は、動物が 絶滅することもあることを 明らかにしました。
29歳のとき、
つばさのある 生きものの骨を みつけました。
翼竜と呼ばれる
空飛ぶ 爬虫類( プテロダクティルス )でした。
しかし、
彼女は
学会にも 入れてもらえず、
大学で 授業を 聴くこともできませんでした。
女性であったからです。
それでも、
メアリ―の仕事は ゆっくりと すこしずつ 世界に 認められていきました。
古生物学を 大きく 発展させる力となりました。
そんな すばらしいしごとを
メアリーは てづくりののみと かなづちと
知ることをあきらめない心で、やってのけたのでした。
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メアリ―が活躍した時代には、まだ「恐竜」という言葉もない時代でした。しかし、彼女の知的好奇心、ねばりづよさ、つよい精神力による化石の発見は、古生物学の発展に大いに寄与しました。
彼女は、時代を切りひらいた女性、また、女性の社会的地位を高めたひとりです。
メアリ―が発見したイクチオサウルス、プテロダクティルスは、厳密に言えば、恐竜ではなく、爬虫類です。恐竜は、中生代に生息していた、直立歩行に適した骨格をもつ爬虫類の1グループです。でも、原書の『Dinosaur Lady』を尊重して、「きょうりゅうレディ」とタイトルがつけられました。
メアリーは、1847年、47歳で亡くなりましたが、2010年、ロイヤル・ソサエティは、メアリー・アニングを「科学界で最も影響力のあるイギリス人女性10人」のひとりに選びました。
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※『きょうりゅうレディ』 リンダ・スキアース作、マルタ・アルバレス・ミゲンス絵、まえさわあさえ訳。出版ワークス 2021年 (2024/11/5)