
うさぎが、きつねから 家をとりもどすロシアの昔話です。
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きつねが、うさぎに 言いました。
うさぎの 家は なんて きたない 家だこと。
わたしの家は ピーカピカ。
氷の 宮殿なのさ!
春になり、
きつねの宮殿は、とけて 消えてしまいました。
すると、
きつねは、
うさぎを 追い出し
うさぎの家を うばいました。
うさぎが 泣いて 歩いていると、
おおかみに 会いました。
「どうして 泣いているんだい」
うさぎが 事情を はなすと、
「きつねを おっぱらおう!」
「うるさい! おまえに とびかがって ひきちぎってやる!」
きつねに 怒鳴られ、
おおかみは 尻尾をまいて 逃げていきました。
くま、うしも 同様でした。
誰も きつねを 追い出すことが できません。
おんどりが やってきました。
「なにが かなしくて 泣いているの?」
うさぎが 事情をはなすと
「それでは いっしょに きつねを おいだそう!」
おんどりは さけび 歌いはじめました。
ぼくは つよい おんどりだ
けんを とったら せかいいち
わるいきつねを やっつけて
けがわの ぼうしに してやるぞ!
でてこい、きつね! かくごしろ!
コケコッコー!

ぼうしに されるなんて とんでもない!
きつねは あわてて にげだしました。
おんどりと うさぎは いっしょに くらしました。
いまでも いっしょに なかよく くらしています
フォーク・アートを思わせる魅力的な絵です。稚拙な感じですが、自由奔放な構図と色彩があり、ロシア文化の伝統的な様式美を感じます。
ベラルーシの民話の絵本『ガラスめだまと きんのつののヤギ』(福音館書店)も同じようなはなしです。ベラルーシの民話では、凄み、啖呵をきるのは、なんとヤギです。こちらはきつねです。また、ヤギは、ハチに刺されて退散しますが、こちらは、おんどりが、きつねを追い出します。
おきまりのせりふ、リズムとテンポのある文章、明快な結末に 読者も スッキリです!
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※『きつねとうさぎ ロシアの昔話』 フランチェスカ・ヤールブソワ絵、ユーリー・ノルシュテイン構成。こじまひろこ訳、福音館書店、2003年 (2025/5/20)