世界一おいしい「かぼちゃスープ」をめぐる、ねこ、りす、あひるのひと騒動です。
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かぼちゃスープは
ねこが 材料を きりわけ、
りすが かきまぜ、
あひるが 塩で味付けします。
役目が ちゃんと決まっています。
ある朝、
あひるが、「ぼくがスープをかきまぜる!」と言うと、
3人は 大げんかを始めました。
とうとう、あひるが ぷつんときれ
「そんなら でてく!」
「かってに しなよ」
あひるは、家に もどりません。
あさごはんにも
ひるごはんにも
もどりません。
ねこと りすは あひるを さがしたけれど、
かぼちゃ畑にも、
庭にも いません。
ふたりは、心配で、食べる気に なりません。
こんどは、暗い森を さがします。
でも、
どこにも 見つからない。
あひるは どこにも いない。
とぼとぼ しょんぼり もどる かえり道。
ところが、
家に あかりが ともっています。
「あひるだあ!」
もちろん 3人は おおよろこび。
ほっとしたら、おなかが 空いた。
かぼちゃスープをつくろうよ。
きょうは あひるが コック長。
ねこも りすも 文句は いいません。
ほうら
世界一おいしいスープの できあがり。
仲良したちの たのしい時間が 戻ってきました。
あひるが こんなことを 言い出すまでは・・・
「きょうは バグパイプを ふきたいよ!」
バグパイプは ねこの役目なのに。
あひるがいなくなって、ねことりすは、3人の楽しい生活に気づきました。3人がそろってこそ、楽しい食事、生活です。「スープをかきまぜる」問題は解決しましたが、バグパイプをめぐるひと騒動が起こりそうな3人です。でも、喧嘩するほど仲がいい、とも言えそうです。「バグパイプを ふきたい」もあひるの自己主張ですが、言いたいことが言い合える3人の関係です。
翻訳は「だ・である」の常体です。3音、4音が基本のわかち書きになっています。リズミカルな翻訳です。「です・ます」調で、あらすじ紹介しましたので、常体の歯切れ良い調子は絵本をご覧ください。動きがあって迫力のある絵です。1999年のケイト・グリーナウェイ賞を受賞しています。
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※『かぼちゃスープ』 ヘレン・クーパー作、せなあいこ訳、アスラン書房 2002年 (2024/7/15)