ふるはしかずおの絵本ブログ3

『おひさまがおちないように』- 「うつくしい ねがいごとのように」

おひさまが、落ちないようにする どうぶつたち。子どもらしい発想の試みです。 

   

       ・・・

朝、おひさまが のぼります。

山の上で あそぶ どうぶつたち。    

でも、とつぜん、

風が吹き、雷がなり、雨が ふりました。

 

 「おひさまは どこへいっちゃったんだろう?」 

 

うし、パンダ、ねこ、カンガルー、さる、りす、とりは 

山の ほらあなで あまやどりです。

 

    

 「おひさまが でてきたよ!

 

 

お昼を すぎるころ、

おひさまが かたむき はじめました。

「どうして おこっこちちゃうのかな?」

と、みんなは 心配します。

 

 「おひさまが おっこちないようにしなきゃ

   

 

とりは おひさまを つなで しばりつけ

さるは こじあげ

りすは ささえ

うしは おしあげ

パンダのおやこは もちあげ

カンガルーは おんぶし

ねこは つかまえようとしますが、

 

   

 おひさま おちていきます

 

 

地面の下に もぐったと思い、みんなは、あなを 掘り始めます。

ほって ほって・・・

つかれて、 

みんな 

ねむって しまいました。

 

 

夜が明け、

おひさまが でてきました。

   

 「おひさまを ほりだしたんだ!

    

みんな、おおごえを あげて 喜びました。

     

          ・・・

うし、パンダ、ねこ、カンガルー、さる、りす、とりは、「おひさまが おっこちないようにしなきゃ」といろいろとためしましたが、みんな失敗です。おひさまが、東から出て西に沈むことを、みんな毎日見ているはずなのにと、ツッコミを入れたくなります。

    

でも、「おひさまが おっこちる」という子どもらしい発想と「おっこちないようにしなきゃ」というどうぶつたちの行動を素直に読んでみます。

      

おちてきたら なんども うちあげよう / うつくしい ねがいごとのように」と、詩人の黒田三郎が「紙風船」でうたっています。「おひさま」は「うつくしい ねがいごと」の喩えなのかもしれません。みんなで、ささえ、おしあげ、もちあげないと、紙風船のように落ちてしまうものです。

    

      ・・・

※『おひさまがおちないように』 チュ・チョンリャン絵、クオ・ツェンユアン文、青山大樹、廣部尚子訳、ライチブックス 2021年

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