大きな街に住むおばあちゃんのところへ遊びにいくぼくの体験です。
「おばあちゃん、ぼく、とまりに きたよ!」
迎えにきたのは、
赤いブーツに 赤いカバンの おばあちゃん。
ぼく おばあちゃん だいすき。
でも、
ぼくは おおきな街は すきじゃない。
ひとがいっぱい
おおきな おとも するんだよ
よる
電車がとおるたびに 部屋が がたがたっと 音をたてて ゆれる。
ぼく ねむれないよ。
「あした おでかけしようね」
あさ おきると、
おばあちゃんが あかくて かっこいい マントを つくってくれていた。
おばあちゃんは、マントを ぼくに 着せて こういった。
「きょうは これを きて いこうね」
マントを はおると、
ゆうき りんりん。
つよくなった きがする。
よーし まちが どんなところか みてやるぞ。
公園で くつろぐ人たち
道ばたで 演奏する人、踊るひと
サンボのいぬに ごあいさつ
見たことも ないものが いっぱい。
すごいなあ
たのしいことが いっぱいある
ここは おばあちゃんに ぴったりの ばしょ
かえるとき、
ぼくは おばあちゃんに 赤いマントを きせてあげた
「ゆうき りんりん、こわいものなしになれる マントだよ。
おばあちゃんを まもってくれるからね」
・・・
知らない場所へ行くのは、子どもにとって不安なものです。赤いマントを作って、「きょうは これを きて いこうね」というおばあちゃん。おばあちゃんの知恵を感じます。赤いマントは、僕の守り神です。そして、ぼくは、自分の知らない世界をマントを着て歩き、たのしいことをたくさん見つけました。
赤いマントは、『ラチとらいおん』のラチのらいおんのように、ぼくを大きくしてくれるものです。そして、最後に、ラチがらいおんと別れたように、ぼくも赤いマントをおばあちゃんにあげるのです。
2015年のコルデコット賞オナーブックです。
・・・
※『おばあちゃんのあかいマント』 ローレン・カスティーヨ作、多賀京子訳 ほるぷ出版 2016年 (2024/10/17)