さかな、てんとうむし、うさぎ・・・
おとうさんたちが 帰ってくることを 子どもたちは よろこんでいます。
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夜に なりました。
おとうさんたち がかえって きました。
さかなの おとうさんは・・・
さらさら ながれる
川を およいで、
こどもたちの ところに かえってきます。
てんとうむしの おとうさんは・・・
ぶーんと とんで
木の したに いる
こどもたちの ところに かえってきます。
うさぎの おとうさんは・・・
ぴょんぴょん はねて。
木の うろに いる
こどもたちの ところに かえってきます。
くりかえしです。
くもの おとうさん
いぬの おとうさん
ことりの おとうさん
かたつむりの おとうさん
ライオンの おとうさんは、ひとりで くらしています。
ぶたの おとうさんは・・・
どろんみちを とことこ かえってくると、
ぶーぶーと
こどもたちを よびます。
ふなのりの おとうさんは、
海から あがり、
おとこのこの ところに かえってきます。
おとうさん おかえり!
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おとうさんと子どものすがたを描いた絵本です。どの場面も、おだやかで平和な世界です。
リズミカルで形の整った文章は、マーガレット・ワイズ・ブラウン(1910-1952)です。彼女は1952年になくなりましたので、生前には発表された絵本ではありません。リスティーブン・サヴェッジのノリウム版画【注】は、シンブルですが、温かみを感じます。2010年の出版です。
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※『おとうさん おかえり』 マーガレット・ワイズ・ブラウン文、スティーヴン・サヴェッジ絵、さくまゆみこ訳、ブロンズ新社 2011年
【注】
「リノリウムを版材にする版画。彫り方は木版とほぼ同じ。材料が軟らかいのと技術的にもむずかしくないので,初心者や子供に向いている。しかし微妙な表現や技巧に乏しいので,専門家にはあまり重要視されていない。ポスターなど比較的大柄な意匠の表現には適している。芸術作品としては 1920年代のドイツ表現主義の版画家が使用し,また 50年代のピカソの作品も知られている。」 『ブリタニカ国際大百科事典』