
「わたし」がおかあさんにしてあげたいことが、こんなにたくさん!
ねえ、おかあさん
いいこと おしえてあげる
わたしが おとなに なったらね
このてで いしを まっぷたつに わって
おかあさんに あげる
野生の くろい馬を つかまえて
おかあさんを のせて あげる
山の てっぺんから 石を とってきてあげる
海の底から 貝を ひろってきてあげる
どんな 算数だって、といてあげる
自動車レースで いっとうしょう
時速100キロで はしってあげる
嫌いな人、みんな やっつけてあげる
世界で いちばん おおきな橋を つくってあげる
おかあさんの お城の家も
ピンクの ばらを あげる
いい においが するよ

おかあさんが さびしくないように
ともだち(いぬ、黒い馬)を おいていく
わたしは 広い世界を 見にいくからね
・・・
1964年に刊行されて以来、長く読み継がれてきた絵本です。もともとは、兄がいもうとにやってあげたいことを語るというストーリーでした。ジュリー・モースタッドは、わたしと母の物語、わたしの自立のはなしとして解釈して、生まれ変わらせました(訳者の解説)。
また、ゾロトウは、物語の着想を 過去と現在のイメージの重なりとして、述べています。
「大人になってからの生活で感じたことや起こったことが、子どものころの何かをよびおこすの、二重写しというか……大人として感じたことと、子どものころの記憶とがむすびついたものなのよ」
「母シャーロット・ゾロトウとこの絵本」(娘のクレセント)
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※『おかあさん、いいこと おしえてあげる』 シャーロット・ゾロトウ文、ジュリー・モースタッド絵、福本友美子訳、工学図書 2025年 (2025/)