ふるはしかずおの絵本ブログ3

『おいっちに おいっちに』- 助けるものと助けられる者

おじいちゃんから 歩き方を 教えてもらった ぼく。

こんどは ぼくが おじいちゃんを 助けます。

    

      ・・・

おじいちゃんの 名前は ボブ。

ぼくの 名前は ボビー。

ボビーの「ボ」の字は、おじいちゃんから もらいました。

      

    

ぼくが よちよち歩きのとき、

おじいちゃんが 歩き方を 教えてくれました。

  

 あんよは じょうず 

 おいっちに おいっちに

     

おじいちゃんとぼくは、積み木遊びをしました。

おじいちゃんの ひざに座って、「おいっちに おいっちに」とせがみました。

遊園地にも いっしょに行きました。

     

   

ある日、

おじいちゃんは 脳の病気になって 入院しました

    

 手も足も うごかせないの、

 ボビーの顔も わからないの、

 とかあさんが 言いました。

    

    

何ヶ月もたって、

おじいちゃんが、帰って きました。

おじいちゃんは、じっと しているだけです。

   

ぼくは おじいちゃんに 話しかけます。

むかし 遊んだ積み木も つみました。

積み木が くずれると、

おじいちゃんは すこし笑い、指も すこし動きました

   

     

おじいちゃんは すこしずつ よくなってきました。

すこしだけ、

おはなしも できました。

でも、歩くことは できません。

   

   

ある お天気の良い日、

椅子にすわっている おじいちゃんに

「おいっちに おいっちに」の話をしました。

    

すると、

おじいちゃんは、立ち上がり 言いました。

「いっしょに あるこう」

「オーケー おじいちゃん」

ぼくは、おじいちゃんの手を 肩にのせて、

   

 あんよは じょうず 

 おいっちに おいっちに

   

おじいちゃんは まいにち まいにち 元気に なっていきました。

     

            ・・・

子どもの頃、おじいちゃんから教わったことを、ぼくは、年老いて病気になったおじいちゃんにしてあげます。助けるものと助けられる者という、ふたりの関係は、逆転しました。でも、相手を愛し、支え合うこころは同じです。「おいっちに おいっちに」という言葉が、それを象徴しています。すてきなタイトルです。NOW  ONE  FOOT, NOW  THE  OTHER (1981)

     

     ・・・

※『おいっちに おいっちに』 トミー・デ・パオラ作 みらいなな訳 童話屋 2012年  (2024/7/3)

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