
登校中、不条理で、ばかげた状況に置かれる、ジョン。
学校に遅刻して、罰をあたえられます。
頭のかたい先生への皮肉があります。
ジョン・パトリック・ノーマン・マクへネシーは
お勉強しに てくてく でかける
途中、ワニが マンホールから あらわれて
ノーマンの かばんに かみついて はなさない
手袋を かたっぽ なげつけて
危機を 脱出した
でも、遅刻した
せんせいに 遅刻の理由を はなしても 信じてもらえない
「げすいに わになど すんでおらん」
〈もう ワニの うそは つきません、てぶくろも なくしません〉と
300回 書かされる
つぎは
ライオンが しげみから あらわれ
また、遅刻
「しげみの なかの ライオンなんてものは おらん」
〈もう ライオンの うそは つきません、ズボンも やぶりません〉と
400回 となえさせられた
こんどは
高潮に さらわれそうになり
また 遅刻
〈もう かわの たかしおの うそは つきません、
ようふくも ぬらしません〉と
500回 書かされた
つぎは
なんにも起こらず 間にあった
その日は、ジョンと せんせいの立場が 逆転

「わたしは ゴリラに つかまって やねに おる
すぐに わたしを おろすこと」
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーは、こういった
「ゴリラなんてものは このあたりの やねには いませんよ、
せんせい」
そして、ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー、
もっと おべんきょうしに でかけていった
・・・
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーが直面するのは、マンホールから現れたワニにかばんをかみつかれ、茂みから現れたライオンにズボンをやぶられ、橋を渡る時に高潮にさらわれそうになる、どれも異常な状況です。その結果、遅刻をしますが、自分に原因があるわけではありません。でも、罰をあたえられてしまいました。ジョンにとっては、不条理なはなしです。
さいごは、ジョンと先生の立場が逆転しました。不条理な状況におかれたのは、ゴリラに捕まった先生です。常識ではつかめないような、不条理な状況に、とつぜん襲われることがあることを、皮肉を込めて、面白おかしく描いています。
・・・
※『いつもちこくのおとこのこ-ジョン・パトリック・ノーマン・マクへネシー』 ジョン・バーニンガム作、谷川俊太郎訳、あかね書房 1988年 (2025/10/7)









