
「いつかはきっと、こうなったらいいな」と思う「あたし」の世界です。
「あたし」が空想・想像する「こうなったらいいな」は?
いつかは ね・・・
がっこうへいくと みんなが いうの
「こんなかみのけ ほしいわ!」
( 「あたし」は長い髪の毛です)
いつかは ね・・・
おにいちゃんが。あたしを
友達に紹介してくれるの
「ほら うちのちびさ」なんて いわずに
「ぼくの いもうとです」って
いつかは ね・・・
バレエが じょうずに 踊れ
どんなボールも うけとめられ
お金持ちになって みんなに プレゼントをするの
かれ木に 水をやると
いきかえって ピンクの花盛りになるの
いつかは ね・・・
パパや ママに いわせてあげる
「もう ねるの? きょうは やけに おりこうさんね」
いつかは ね・・・
かわいいブルドッグを かって いつもいっしょ

いつかは ね・・・
読む本がなくなると どっさと とどくの
テーブルのしたくを任されたり
ピアノをひいていると、
「もういちど きかせてください」と
おむかいの おばさまに いわれるの
家のなかに、あら、ふしぎ!
見たこともない 部屋が みつかる
いつかは ね・・・
クリスマスツリーだって すきなように かざらせてもらう
だけど いまは・・・
あーあ もう ゆうごはん
・・・
「こうなったらいいな」という「あたし」の願いは、だれだって持っている願いです。「あたし」は、それをいきいきと語っています。読者は「あたし」にきっと共感することでしょう。
「エレンに――いまのうちに およみ」 との献辞があります。エレンはゾロトウの娘ですが、エレンに代表される夢多き小さな女の子にむけての言葉です。
ローベルは、「あたし」をいきいきと描いています。また、SOMEDAY の文字は、ページことに意匠を凝らしています。
・・・
※『いつかはきっと…』 シャーロット・ゾロトウ文、アーノルド・ローベル絵、矢川澄子訳、ほるぷ出版 1975年 (2025/5/26)