ふるはしかずおの絵本ブログ3

『あまつぶ ぽとり すぷらっしゅ』- トゥレッセルトの創作の特徴について

山にふった雨が、海に流れるまでを 描いた絵本です。

いろいろなものと出会い、いろいろな出来ごとが おこります。

 

 

 ぽとり ぽっとん すぷらっしゅ

 ぼとり ぼっとん すぷらっしゅ

 ぼとり ぼっとん すぷらっしゅ

 あめは ふる ふる あさ ひる ばん

     

    

はっぱから ぽたりと おちる

うさぎの 鼻から

ちゃいろの くまから おちる

    

ひなぎくの 花びらから つたって

木のみきを つたって

あまがえるの せなかに ぽとり ぽっとん

     

     

水たまりが できた

池に なった

   

 ぽたぽた ぽっとん すぷらっしゅ

 ぽたぽた ぽっとん すぷらっしゅ

     

みずは あふれて 谷におち

山あいを くだる

みずうみに 流れこむ

     

     

雨は ふりつづく

牧場は 水びたし

道路を しずめ

あふれた みずは 川におち

川は ながれて 海のなか

    

      

波が うねり うねり むかえてくれる

おおきな きせんが はしってる

おひさまが かおをだし あめは やっと やんだ

 

              ・・・

「ぽとり ぽっとん すぷらつしゅ」と降った雨が、海にながれこむまでが、絵本の背骨のようになっています。そのまわりを、いろいろなものや出来ごとが、枝葉のようについている、おはなしづくりです。そして、リズミカルな文章です。

        

骨太のストーリーがあり、変化・発展するリズミカルな文章」は、トゥレッセルトの創作の特徴だと思います。

     

ストーリーの「枝葉」となるものは・・・

はっぱ、うさぎ、くま、ひなぎく、あまがえる、すいれん、ちいさいさかな、かたつむり、りす、すみれ、かあさんじか、こじか、みどりのこけ。おおきなさかな、蝦蟇の穂、とんぼ、かめ、くろうたどり、うし、かもめです。

      

また、いろいろな「こと」が、表現されています。

かあさんじかは、子じかに水の飲みかたを教えています。くろうたどりは、いぐさの茂みに巣をつくり、子どもたちは、ボートに乗って学校へ行きます。2そうのボートがレースをしています。川に飛び込む子どもたちもいます・・・

       

絵は、黄色と渋めのオレンジの地味な感じですが、いろいろな発見があります。1947年のコルデコット賞オナーブック(次席)です。

   

            ・・・

※『あまつぶ ぽとり すぷらっしゅ』 アルビン・トゥレッセルト文、レナード・ワイスガード絵、わたなへしげお訳、童話館出版 1996年  (2025/3/9)

SHARE