ふるはしかずおの絵本ブログ3

『あたし、メラハファがほしいな』

アフリカのモーリタニアのおはなし。

メラハファとは、

イスラム教徒の女性が 身につける ベールや衣装のことです。

    

      

おんなのこが おかあさんに いいます

   

 「あたし、メラハファが ほしいな。

  おかあさんみたいに 

  きれいになりたいの

  

 「メラハファは 

  きれいになるために あるのかしら?

   

おんなのこは おねえさんに いいます。

 

 「あたし、メラハファが ほしいな。

  セルマねえさんみたいに

  ひみつめいて みえるもの」

 

 「メルハファは ひみつめいて 

  みえるたあるのかしら?」

  

   

    

おんなのこは 

おとなっぼく みえるから

おきさきさまみたいに みえるから

メラハファが ほしいと いいますが・・・

メラハファは それだけなのかしらと、みんな、こたえます

   

   

夕方の お祈りのとき

   

 「あたし、メラハファが ほしいな。

  おかあさんみたいに おいのりしたいから

  

    

おかあさんは いいました

 

 「ゼーン(いいですよ)

     

おかあさんは メラハファで つつんでくれる

あたまに ふんわり かぶせてから

うでの したを するりと とおし

くるくる くるくる まきつけてくれる

      

    

空のように あおく

瞳のように あおい

メラハファを 

   

 「あたし、もう わかった 

 メラハファは おいのりをするための ものだって

    

      

メラハファをまとった女の人は、おんなのこには、きれいで、秘密めいていて、おとなっぽくて、お妃さまみたいに見えました。「あたしもメラハファが欲しいな」という、メラハファに憧れる少女の気持ちがくりかえされます。そして、「メルハファは、お祈りする為のもの」と気づく少女の成長物語です。

     

       

語り手は少女を「あなた」という呼称で呼んでいます。「ここは あなたの すむ さばくの くに」「おかあさんは あなたの かおを じっと みて うなずく」。絵本にはめずらしい、二人称視点です。あらすじ紹介では「あなた」をつかわず、「おんなのこ」(三人称)にしました。

      

   

語り手が「あなた」と呼ぶことで、じぶんに呼びかけられているような、あるいは少女を対象化して、外側から見るような体験を、読者はすることでしょう。読者と人物との独特な距離感がうまれます。また、「あなた」と言う語り手の存在をつよく意識します。

     

    

アフリカのモーリタニアの、それもイスラム教徒のおはなしですので、日本の読者は、「あなた」と言われることに違和感を感じるかもしれません。しかし、会話表現がおおくありますので、「あなた」と呼ばれることを、それほど気にせずに、読めることと思います。

      ・・・

※『あたし、メラハファがほしいな』 ケリー・クネイン文、ホダー・ハッダーディ絵、こだまともこ訳、光村教育図書 2014年  (2026/3/19)

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