ふるはしかずおの絵本ブログ3

『あさいち』- 活気ある、能登輪島の朝市

地元の人の語りと会話で 朝市のようすを 描いています

  

 

夜の明ける前、

港で 船の帰りを 待つ ひと。

   

 「とうちゃんと あんちゃんの ふねが けえってくる。

  そこびきあみで ずわいがに ぶり、たらに たこを 

  いっぺえ とってな

    

     

雪の下から、みずな、ねぎを 掘る ひと。

   

 「あしのさきから ちびてえぞ。

  あらいばの みずは てがきれるみてえだ」

 

   

   

朝市通りは みせが ならんどる。

 

 「こうてくだ、こうてくだ 

  ぶりと かにと たこと いか」

    

 「まけとくさけ こうてくだし。 

  かおり まったけ、あじ しめじ。しめじは いらんけー」


 「ふでさん ねぎ もらお」

 「おおきに ねえちゃん。これ まけとくさけ」

  

 「つるしがきやぞ、うまそうに こがふいとるぞー」

    

   

朝市も おわりのころに なると

   

 「しまいもんやさけ おおまけに まけとくわ

  こうてくだー

     

 「かれい のこったわ。ふでさん たべてくだ」

 「おおきに。のぶちゃんも みずな もっていくまし」

   

           ・・・

ことしの正月元旦、午後4時10分、マグニチュード7.6の大地震が、能登半島を襲いました。また、9月、 24時間雨量400ミリ超という大雨に襲われ、被害がさらに拡大しました。

    

出版社のメッセージです。「一日も早い復興への願いを込めて復刊します。本作品の利益は、能登半島地震災害義援金として、日本赤十字社に寄付いたします」。当地の人たちの苦労を思います。復興と日常の生活が、1日もはやく実現することを祈ります。
    

    

「復刊」とあるように、絵本『あさいち』は、1984年4月に出版されました。40年前の絵本ですが、当時の朝市の活気あるようす、人びとの会話がいきいきと描かれています。朝市の匂いまで感じられます。

ここで紹介した朝市の会話は、ほんの一部です。

     

     ・・・

※『あさいち』 輪島・朝市の人びと・語り 大石可久也・絵、福音館書店  2024年(1980年初出)  (2024/10/20)

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