「魔女」と「あくま」がでてくる昔話のなかの ぼくの冒険です。
・・・
ぼくは、昔話のなかで、歩いています
おおきな 山
おおきな 川
を越えると、
ぼくは、おそろしい魔女に あった
魔女は ぼくと ともだちに なりたいといった
ぼくは だまされなかった
魔女を レーザーガンで やっつけた
でも、死なない
あくまが やってきて、魔女をころした
あくまも ぼくと ともだちに なりたいった
ぼくは 昔話から にげだした
ぼくは 家へ帰って こんなことを考えた。
あくまとともだちにならなくて
そんしたんじゃないかって
・・・
友だちになりたいという「魔女」と「あくま」。ぼくは、レーザーガンで「魔女」を撃ち、「あくま」を拒絶して、昔話の世界から出ていきます。でも、「あくま」と友だちにならなくて、損をしたかも知れないと思っています。
おはなしの世界は、ぼくの体験の幅をひろげます。他者の理解をふかめ、自己を知る機会となります。その意味で、「ぼく」は、おはなしの世界で「あくまとともだちにならなくて そんした」のかもしれません。
それでも、ぼくは「そんをしたかもしれない」という考えを持つことができました。
・・・
※『あくま』 谷川俊太郎詩、和田誠絵、教育画劇 2024年(2007年初版) (2024/11/18)