ふるはしかずおの絵本ブログ3

『あおのじかん』- たくさんの色とものを含む「あお」

タイトルの「あおのじかん」とは何でしょうか?

太陽が沈み、夜がやってくるまでのひと時、

あたりが、青い色に染まる時のことです。

      ・・・

青い色をした動植物が、たくさん登場します。

アオカケス、

あおいホッキョクギツネ、

コバルトガエル

アオガラ、

あおく光るイワシの群れ

あおい フサホロホロチョウ、

あたりは、あおいベールにつつまれて、しんと静まりかえる。

    

モルフォチョウが、虹色の羽をふるわせるころ……

やぐるまぎく、

ほたるぶくろ、

わすれなぐさ、

すみれが香りを放つ

ブルーレーサー(ヘビ)は、からだを枝に巻きつける。

ルリツグミのあおい卵にひびがはいる。

青みがかったネコが、夕闇に消えていく。

あおい カタツムリ

オガワコマドリ、

ルリノジコ、

オウギバト、

セイキチョウ。

      ・・・

シロナガスクジラが、深呼吸をする。

アオミノウミウシ、

ヒョウモンダコ、

スミレサギ、

ブルーモンキー、

群青色のイトトンボが、ルリハツタケにとまったら……

あおの時間は終わり。

夜の闇がつつみこむ。


青、蒼、碧。

なんて複雑で美しい「あお」の世界でしょう。鳥獣虫魚の青、植物にも青があります。ページをめくるたびに、水色、そらいろ、紺色、藍色、群青色へと深まる青。闇の世界がだんだん近づいてきます。青には白と黒がふくまれる。青白い世界と青黒い世界です。また、モルフォチョウの羽をふるわせる音、すみれの香りのある世界です。

絵本で使われた32色の「いろいろな あお」が、見返しのところにあります。みんな違う「青」、でもみんな同じ「青」です。色を楽しむ、絵を楽しむ絵本です。

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※『 あおのじかん 』イザベル・シムレール文・絵、石津ちひろ訳、岩波書店 2016年 

     

【 追 記 】

「あおのじかん」があるなら、「きいろのじかん」や「あかいじかん」「しろいじかん」もあることでしょう。世界を「あお」「きいろ」「あか」「しろ」から見ることで新たな発見があるかもしれません。  (2019/8/6)

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