ふるはしかずおの絵本ブログ3

『西風号の遭難』-幻想的な世界へ飛翔する

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ファンタジーの絵本。画集のような絵本です。

     ・・・

語り手の わたしは、ちいさな漁村で丘にのぼりました。

そこで、

ふしぎな光景を目にします。

小さなヨットの残がいが、よこたわっていたのです。

どうして丘のうえに ヨットが あるのでしょうか?

事情を知りたい 読者。

もう、

ファンタジーの世界に入りこんでいます。

老人が語ります。

     ・・・

むかし、

ヨットの操縦がじょうずな 少年がいました。

ある日、 少年は

西風号にのり、遭難してしまいます。

気がつくと、

少年は、 見しらぬ浜辺に。

 現実のようでもあり、

 非現実のようでもある 世界。

     ・・・

このあと、

少年が 見たものは。

ヨットが、空中たかく浮かんで目の前を通りすぎる光景です。

そして、

三隻めのヨットが、

西風号をひいていくのです。

    ・・・

ヨットを追い、

少年は、

ひとりの船乗りと出会いました。

そして、 空を飛ぶ技術をならった少年は・・・

      ・・・

夜になり、

ひややかな風が吹き始めました。

満月のひかりを浴びて

少年は、風をさぐりあてようとします。

そのとき、

突然、

西風号は、ぐらぐらと揺れはじめるのです。

へさきにあたる水音が

おおきくなり、

はじける波のしぶきが、風にまじるようになりました。

そして・・・・

へさきが浮かび上がり

西風号は水面を離れ

空を飛ぶのです。

     ・・・

ヨットが、

かもめのように

夜空を ゆっくり 飛んでいきます。

現実にはありえない不思議なこと。

でも、

その不思議を

読者は信じ、

幻想的な世界へ 飛翔するのです。

現実から非現実へせりあがるプロセスが、みごとです。

リアリティのある細部が、ファンタジーを創造します。

     ・・・

※ 『 西風号の 遭難 』  クリス ・ ヴァン ・ オールズバーグ作、 村上春樹訳、

     河出書房新社  1985年発行

以下は、 私が読んだ、 オールズバーグの 作品です。

どれも おすすめの 作品ですが、 わたしは、『 ハリス・バーディックの謎 』 に

魅かれました。

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 『 魔法のホウキ 』

 『 名前のない人 』

 『 まさ夢いちじく 』

 『 ベンの見た夢 』

 『 急行 「北極号」 』

 『 ハリス・バーディック の 謎 』  ( 以上は、村上春樹訳 河出書房新社 )

 『 ジュマンジ 』  ( 辺見まさなお訳、ほるぷ出版 )

 『 ザスーラ 』  ( 金原瑞人訳、ほるぷ出版 )

 『 2ひきのいけないアリ 』  ( 村上春樹訳、あすなろ書房 )

  『 魔術師 アブドゥル・ガサツィの 庭園 』 ( 村上春樹訳、あすなろ書房 )

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