ふるはしかずおの絵本ブログ3

『だいくとおにろく-』名前をいいあてて、鬼がきえる

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日本の川には急流が多い特徴があります。『 だいくと おにろく 』は、その急流の川が題材になっています。

     ・・・

流れの はやい 川に、

村人は なんども 橋を かけます。

しかし、

なんども 流されて しまいました。

そこで、

名高い だいくに 橋をかけて もらうことにしました。

引きうけて みたものの 

だいくは、心配になってきました

     ・・・

だいくが、

 川を 見つめていると…、

 ぶく    ぶく    ぶく 

おにが ぶっくり あらわれます。

      ・・・

  おまえの  めだま  よこしたら・・・

  はし  かけてやっても   ええぞ 

      ・・・

おには、

だいくの めだまを よこせと いうのです。

目玉は、ものごとの本質をとらえる 人間の力の象徴だとも言えます。

     ・・・

次の日、

川へ 行って みると 

橋が 半分 できています。

おには、いいます。

      ・・・

  おれの なまえを あてれば   

  ゆるして やっても ええぞ 

     ・・・

だいくは、 なやみ、

山のなかを さまよい、

上流に むかって すすみます。

すると、

     ・・・

  はやく    おにろくぁ     めだまぁ 

  もってこ ばぁ     ええ    なあ-

     ・・・

という声が 聞こえて きました。

だいくは 自然の声に 

耳を かたむけ  まなんだのでした。

おにの名前は、「 おにろく 」と。

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     ・・・

そして、だいくは おにと対決します。

ふたりの対決の場面は、ドラマチックな構成です。

ふたりの掛け合いのおもしろさがあります。

ユーモアと 

たたみかけていく テンポ。

さいごに

おにろくっ!

おには、 

きいた なっ ! 」 と  

くやしそうに いうなり、

 ぽかっと きえて なくなってしまった。

     ・・・

鬼は、自然( 川 )の象徴です。

名前をいいあて、鬼が消える。

それは、自然の本質を理解し、川の暴威を克服したすがたです。

      ・・・

※ 『 だいくと おにろく 』 松居 直再話、 赤羽末吉絵、 福音館書店 1962年

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