ふるはしかずおの絵本ブログ3

『おじさんのかさ』-ユーモアの美

佐野洋子さんの絵本には   ユーモアが   あります。

『 おじさんの かさ 』 も そのひとつです。

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 【前半】

おじさんは、 かさがぬれるので、  

雨の日に、  

かさを   

さしません。

雨が ふっているのに、かさを かかえて、でかけるです。

変なおじさん。

おじさんのかさは「りっぱな かさ」です。

「くろくて  ほそくて、  ぴかぴか  ひかった つえのよう」。

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おじさんは、  かさを道具( 用 )としてではなく、美しく 立派なもの( 美 )として みています。でも、  かさは、 雨に ぬれないための道具です。それが常識です。おじさんの行動は常識とずれていますが、そこにおかしさ(ユーモア)が あります。

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  【後半】

子どもたちが 楽しそうに歌います。

 

  雨がふったら、 ぽんぽろろん。

  雨がふったら、 ぴっちゃんちゃん。

 

子どもたちの歌につられて、  

おじさんは、思わず かさを開いてしまいました。 かさを さして雨の中に入っていきます。

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りっぱな かさは、りっぱなに ぬれていました。

おじさんは、 ぬれたかさを「りっぱに ぬれて」と見ているのです。

ここも、ユーモア。

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おじさんは大真面目。読者の常識とのくいちがいが、ユーモアを生んでいます。常識とは異なる言動をするおじさん。

でも、憎めない人物です。

    ( どうしてでしょう ? )

美しいもの、

素晴らしいものを

大事にして楽しむ人物だからです。

自分にとって価値あるものは、たいせつにしておきたいものです。これはだれにでもある心情です。

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 ※ 『 おじさんの かさ 』 佐野洋子作・絵、講談社 1992年

 

 

 

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