ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 雑草の くらし 』- すごいなぁ 雑草たち

00
サブタイトルは、「あき地の五年間」。雑草の観察記録です。
雑草たちの 生命力、
雑草たちの 栄枯盛衰
が 描かれています。
      ・・・
登場人物は?
 メヒシバ、
 エノコログサ、
 オオアレチノギク、
 セイタカアワダチソウ、
 カラスノエンドウ、
 クズ、
 ヤブガラシ
 スイバ、
 イヌムギ、
 ツクシ、
 ツユクサ
・・・
55
1年目の春
上へ上へと のびていく メヒシバ、
歩くように のびていく メヒシバ、
エノコログサ、ハコベ、キュウリグサ、コニシキソウ、オオイヌフグリも見えます。
夏。
メヒシバやエノコログサは、花をさかせ、実をむすびます。
何千万もの 種子が、地面に ひろがります。
秋。
オオアレチノギクの 種子たちが、風にのって やってきます
       ・・・
2年目の春
ツクシが 顔を だしています。
メヒシバ、エノコログサは、大きくなっていく草に おおわれ、ほとんど 死んでしまいます。
おおきな草とは、オオアレチノギク
夏のさかりに、
実をむすんだ オオアレチノギク は、1株に10万の種子を つけています。
わた毛をひらき、空を 舞います。
       ・・・
3年目の春
ツクシが、ひろがり、
カラスノエンドウが、小さなまきひげを のばして ひろがっています。
カラスノエンドウが、
立ち上がり、
巻きつき、
横に ひろがっていきます。
日の光を 奪われた オオアレチノギクたちは、いつの間にか、消えていきます
       ・・・
夏の朝。
カラスノエンドウの実が 弾けます。
パチッ、パチパチッ、パチッ。

真夏。 
つる草の1団が おしよせます。
クズ、
ヤブガラシ。
まきつく草を さがして ねらっています。
しかし、秋のおわりには、セイタカアワダチソウが 仲間を ふやしています。
冬。
クズ、ヤブガラシ、セイタカアワダチソウは、地下茎や根っこに 栄養をためこみ、春をまっています。
       ・・・
4年目の春
花を 咲かせたのは、スイバの群れ。
イヌムギも います。
クズ、ヤブガラシ。
地下茎をもつ 草同士の はげしい たたかいが 始まります。
いまは、もう、ぼうぼうとした草むらに なってしまいました。
231       ・・・
5年目の春
土が 掘りかえされ、草がすっかり とりのぞかれた 畑。
メヒシバ、
エノコログサが、もう 芽をだしています。
土のなかで 生きつづけ 出番を まっていたのです。
       ・・・
雑草たちの5年間の戦いのドラマを 見ることができました。
手間と時間のかかった絵本です。でも、わたしたちは、甲斐さんの5年間の観察を、ほんのひとときで 体験できます。
春をまつ草、いつの間にか消えた草、弾ける草、まきつく草。仲間をふやす草。草たちの生命力と栄枯盛衰のすがたは、人間の世界にも通ずるような気がします。擬人法をもちいた表現が、いっそう、そのように感じさせます。
雑草(?)を 見る目が、かわることでしょう

        ・・・
※『 雑草の くらし 』 甲斐 信枝 作  福音館書店   1985年

【 甲斐信枝さんの 絵本 】
『 ざっそう 』 ( 福音館書店 1976 )
『 ひがんばな』( 福音館書店 1982 )
『 たんぽぽ』 ( 金の星社 1984 )
『 大きなクスノキ』( 金の星社 1991 )
『 たねがとぶ』 ( 福音館書店 1993 )
『 ブナの森は生きている 』( 福音館書店 1996 )
『 つくし 』 ( 福音館書店 1997 )
『 たけ もうそうだけのおやこ 』( 福音館書店 2004)など。 (2017/12/25)

SHARE