ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 海と 灯台の本 』 - 子ども たちよ 灯台のようで あれ !

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1927年の ソビエト絵本 です。

     ・・・

   子どもたちよ 

       灯台のようであれ !

           くらやみで  航海できない 人たちのために 

               明りで  行く手を 照らすのだ !

     ・・・

20世紀のロシアを代表する

詩人・ マヤコフスキーが、子どもたちに託した希望です。

           ・・・

     夕ぐれも、

           夜ふけも、

     航海は 

        とても むずかしい。

      ・・・

嵐のなかを航海する 船。

双眼鏡をのぞいても、海岸さえ見えないのです。

波がうねり、渦をまけば、

船は、てんぷくです。

      ・・・

そのとき

灯台の赤いひかりが届きます。

      ・・・

     「 ここは しずかだ

        船よ みんな 

           こっちへ  進め ! 

           と 告げています。

灯台員は、

夜もねむらず、

明りをともしました。

      ・・・

そのおかげで、

船は、無事に港へとかえっていくのです。

そして、

冒頭のことばです。

      ・・・

荒れくるう海とは、人生そのもの。

船は、わたしたちのたとえです。

いきることの意味、

何がたいせつなことなのかを

マヤコフスキーは、力づよくつたえます。

     ・・・

マヤコフスキーは、 創作を通して、ロシア革命後のあたらしい社会の建設をよびかけましたが、1930年4月、みずから命を絶ちました。画家のポクロフスキーについては、 情報が乏しく 錯綜しています。生没年も不明です。このことは「 アヴァンギャルド芸術への弾圧の時代の象徴 」(松谷さやか)でした。

      ・・・

※ 『海と 灯台の本』 マヤコフスキー文、ポクロフスキー絵、松谷さやか訳、新教出版社 2010年

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