ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 木 』- 作品と読者の間にドラマが起こる

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題名に 惹かれます。
作家に 惹かれます。
 彫刻家の 佐藤忠良(1912年-2011年)、
 詩人の 木島始(1928年-2004年)。
      ・・・
いろいろなことを
語りかけてくれる 木。
画家と詩人が、木と対話します。
 絵とことばで。
      ・・・
水をぐんぐん吸い上げる ねっこ、
空を見上げながら、
風の歌を聞いている 木、
かぜが吹くと 木も うたう。

木のこぶからは、がまんのうたが きこえてくる。
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木のこずえが そらを なでている、
さすっている、
なでさわっている。
木の芽が のびる のびる、
うまれたての 若葉たち。
おしゃべりをしている。
ささやきあっている。
     ・・・
木登りを さそって待っている 木。
のぼってみよう。
     ・・・
 うっ ひゃあっ
 みどりの 
 はなびの 
 まんなかに 
 おおきな木は 
 うたいながら 
 たっている

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画家と詩人の 木へのオマージュ、賛歌です。
木は、そら、みず、かぜ、とり、むし、ちょうちょ、ひかり、おひさまと結びついています。そして、木のこぶは「むかしと いまが いっしょに いきをしている」のです。木の存在感と迫力に圧倒されます。読みごたえ、見ごたえのある絵本です。文章(詩)を要約しましたが、やはり絵本をご覧になってください。絵本のなかに劇的なものは起こりませんが、意味づけられた豊かな表現から、絵本とわたしたちの間にドラマがうまれます。
      ・・・
※『 木 』 佐藤 忠良画、木島 始文、福音館書店 2005年  (2018/3/5)

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