ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 りんごが たべたい ねずみくん 』-くりかえしの表現の おもしろさ

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絵本には、くりかえしの表現が よく見られます。
今回は、『 りんごが たべたいねずみくん 』を引き合いにして、くりかえしの意味と効果について考えます。
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木になった 赤いりんご。( 表紙 )
でも、ねずみくんは、食べることができません。
あまりに 高すぎて。
   
 とりくん が、飛んできて、りんごを ひとつ とりました。 
  ( 洒落ですね。 )
 ねずみくんは 言います。
 ぼくにも つばさが あったらなあ。 
     ・・・
 次は、さるくん。
 さるくんも、木に するすると登って、りんごを ひとつ。
 ぼくも きのぼり できたらなあ
     ・・・
 次は、ぞうくん。
 ぞうくんは、長い鼻で りんごをもぎとります。
 ぼくも はなが ながかったらなあ
   
きりん、
カンガルー、
さい、
みんな、自分の特徴をいかして、
おいしそうなりんごを、とっていきます。(犀は下の絵のように)
残ったのは、ふたつのりんご。
2そこへ、
あしかくんが、やってきました。
     
 ねずみくん いったい どうしたの ?
    ・・・
 きみは そらを  とべるかい ?
 きみは きのぼり でるかい ? 
 きみは はなが  ながいかい ? 
 きみは くびが  ながいかい ?
 きみは たかく  とべるかい ? 
 きみは ちからが つよいかい ?
     ・・・ 
 どれも ぼくには できないや・・・
 でもひとつ とくいなことがある
      
あしかくんは、
ひょいっと、
ねずみくんを、りんごの木に はねあげたのでした。
ふたりの特性をいかして、りんごを取るところがいいですね。
ひとりではできない、新しいことがうまれました。
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くりかえし(反復)は、イメージと意味を豊かに深くしていく強調の表現方法です。そして、読者の体験を強調します。『 りんごが たべたい ねずみくん 』の場合、何もできないねずみくんのイメージと 彼の悔しさが、強調されています。「かわいそうだなあ 」「どうやったら とれるんだろう」「 なんとかして あげたいな」などの読者の思いも、高まります。
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また、ものごとと人間の本質・真実は、くりかえし現れます。言い換えれば、くりかえされる表現から、ものごとと人間の本質・真実がわかります。絵本のくりかえしは、子どもたちの発達に合った、表現の方法 であり、認識の方法 です。
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※『 りんごが たべたいねずみくん 』 なかえよしを作、 上野紀子絵、 ポプラ社  1975年  読んであげるなら、2歳頃から。 (2016/3/24)

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