ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 やまなし もぎ 』- 自然の声、美しい音に導かれる さぶろう

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むかし、
おかあさんと 3人の兄弟が 暮らしていました。
あるとき、体の具合が悪くなった おかあさんは、
息子たちに やまなしを取ってきてほしいと願います。
     ・・・
一番目は たろう。 
途中で会った ばあさまは、三叉路に来たら
ゆけっちゃ かさかさ 」と方に行けと言います。
     ・・・
たろうは 
ばあさまの言うことを聞かずに、 
ゆくなっちゃ がさがさ へ、
しかし、
沼の主に、げろりっと呑まれてしまいました。
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二番目は じろう
じろうも、同じことして、同じ道を行って、
沼の主に、げろりっと呑まれてしまいました。 
     ・・・
三番目は さぶろう
途中、「みずを一ぱい くんでくれ」という ばあさまの頼みに応えてあげます。
ばあさまは、お礼に
よく切れる かたな(刀)と
赤いかけわん(欠け椀)をあげました。
さぶろうは、
ゆけっちゃ かさかさの道へ。
ゆけっちゃ とんとん ゆけっちゃ からから。
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やまなしの木は、うたっています。
     
 ひがしの えだは おっかないせ、
 にしの えだは あぶないせ、
 きたの えだは かげうつる、
 みなみの えだに のぼりんさい、ざらん、ざらん

     
沼の主は、さぶろうも一呑みにしようとします。しかし、刀で切りかかり、沼の主は、ぐにゃ ぐにゃに。腹のなかから、たろうとじろうが出てきます。欠け椀で沢の水を飲ませると、元気になり、たろう、じろう、さぶろうの3人は、やまなしをおかあさんに持っていきました。おかあさんの病気は けろけろっと治り、親子は楽しく暮らしましたとさ。
 どんど はらい
     ・・・
さぶろうは、ばあさまの言葉にしたがい、がさがさ(濁音)ではなく、ゆけっちゃ かさかさ( 清音 )の道を選びます。また、やまなしの木のうたに導かれ、やまなしを手にいれました。それは、自然の声にしたがう行動です。自然は、美しい音と歌で人の取るべき道を示しています。さぶろうの行動に、日本人の美意識自然に対する態度を見ることができるように思います。
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※『 やまなし もぎ 』 平野直再話 太田大八画 福音館書店 1977年  (2018/10/5)  

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