ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 ふしぎなボタン 』- ボタンで変わる人生

489フィンランドの絵本です。
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ボタン職人のぺトルス
かれは、美しく彫刻されたボタンを持っていました。子どもたちは、この不思議なボタンにまつわる話が聞きたくて、ペトルスのところにやってきます。
そのおはなしです。
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100年ほど前、
プアンという名の貧しいボタン職人 がいました。
プアンは、味わいのあるボタンを丁寧につくりました。愛らしいボタンを自分の子どものように思っています。自分の作っボタンをつけた服を誰が着るのだろうと思うと、プアンは胸が踊ります。
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ある日、
王様が村にやってきました。
プアンは、王様にボタンを贈りました。
王様は、それを王女マリアに渡します。
彼女は、自分の結婚式に使うティアラにそのボタンをつけました。
みんな、
王女の ティアラについているボタン がいちばん魅力的だと思います。
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でも、ボタンは落ちてなくなってしまいました。
悲しみにくれる王女。
王様は、王女をなぐさめます。
生きているうちには、何かを失うことがあるかもしれないが、必ず、また、何か新しい大切なものが手にはいるものだよ
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王女のティアラにあったボタンはどこへいったのでしょう。
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ペトルスが若い時、
街の清掃をする仕事をしていたとき、それを手に入れたのです。
ペトルスは、そのボタンが100年前の王女のものだと確信します。
その後、彼もボタン職人になりました。王女のボタンは、彼の人生を変えました。いま、ペトルスの仕事場の壁にはこう書いてあります。

     

    名人にとって
    仕事はどれも
 さらに良い仕事をするための
     修行だ

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ボタンに模様を掘るプアン。模様を掘るのに、かなりの時間がかかります。「もっと簡単にできるボタンをたくさん作ればお金がかせげるだろう」と村の人たちが言います。しかし、お金儲けよりも、美しいボタンを作りたいという職人の魂がプアンにはありました。そして、プアンの心は、100年後のペトルスに引き継がれました。
マザー・テレサが言っています。「大切なのは、どれだけたくさんのことや偉大なことをしたかではなく、どれだけ心をこめたかです」。この言葉は、プアンやペトルスたち職人の魂でもあります。心をこめた仕事は深い信仰につながります。

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※『 ふしぎなボタン 』 ミルヤ・オルヴォラ文、 サッラ・サヴォライネン絵、 稲垣美晴訳、猫の言葉社 2010年  (2019/7/12)

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