ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 ひとつずつ 』- バナナを分けるこざるたち 

55お腹をすかした こざるが 3びき。
おいしいものをみつけたら・・・ひとつずつよ、ひとつずつ」。
ひとり、ひとつずつと約束します。
      ・・・
あっ、バナナだ!
バナナは5本。
ひとつずつ食べおわると、
残りは2本になりました。
      ・・・
2本は2人分。1人は食べることができません。
ぼくの バナナが なーい。あーん」 
  (どうしたら よいのでしょうか。)
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そこへ、
ぞうが、やって来ました。
ぼくが たべてあげようか?
わし わし わし。
残った2本のバナナは、ぞうに食べられてしまいました。
    ・・・
ぞうは、上を見あげます。
そこには、バナナがいっぱいです。
ぞうは、ながい鼻を使ってバナナをとりました。
こざるは ぱく ぱく ばく。
ぞうは わし わし わし。
だあれも「ひとつずつ」なんて いわなかったよ
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2本のバナナを3人で食べるには、どのように分けたらよいのでしょうか。1本のバナナを3つに切って全部で6個にして、ひとり2つずつ。大人はこんなことを考えますが、子どもはどうするのでしょう。かれらの答えを聞きたいと思いました。「ぼく(わたし)は我慢する」という子もいるかもしれません。
バナナのことは特殊なことかもしれませんが、限られたものを公平に分けるのが難しい状況は、現実によくありそうなことです。絵本では、ぞうさんがたくさんのバナナをとってくれたことで問題は解決されました。2本のバナナを3人で分けるのではなく、状況そのものを変えるぞうさんの発想と行動にふかい意味を感じます。
      ・・・
※『ひとつずつ』 八木田 宜子文、長 新太絵、 絵本塾出版  2017年
【 追記 】
『ひとつずつ』は、八木田宣子文、長新太絵、福田繁雄装幀で文化出版局から1971年に出版されました。絵本は復刻版です。(2018/10/16)

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