ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 ちいさな とりよ 』 - いのちの重み、いのちの かけがえのなさ

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死んだ鳥に、お墓をつくってあげる 子どもたち。
子どもたちの心の動きを、散文詩で語ります。
原題は、The Dead Bird( 1958年 )
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原っぱで、遊んでいた 子どもたち。
1わの鳥を 見つけました。
でも、
すでに 死んでいました。
     
 こどもたちは とべなくなった とりを かわいそうだと おもいました。
 でも もりのなかに おはかを ほって うめてやれる、
 そう おもいつくと うれしくなりました

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かれらは、お墓を 作ります。
毎日 森へ行って、きれいな花を 飾り、
歌を うたってあげる 子どもたち。
読者のこころは、すこしずつ あたたかくなります。
手厚く 葬る すがたを 見て、
いのちの 重み、
いのちの かけがえのなさを 実感します。
     
 こどもたちは とりの ことを わすれてしまうまで、
 まいにち もりへ いって きれいな はなを かざり、
 うたを うたいました。

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命はひとつ。
決してつくりだせない命。
この真実を、ふかく心に刻みこんでいった子どもたち。かれらの心には、ある達成感や満足感があることでしょう。この経験は、さらに別の経験のための内的・外的条件を拡充することでしょう。
寒色の水彩画が、この世界がどのような世界かを表現しています。鳥の死にふれるという、ひやりとした感覚もあります。こうした感覚を読者の子どもたちに体験してもらいたいものです。
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※『 ちいさな とりよ 』 マーガレット・ワイズ・ブラウン作、レミー・シャーリップ絵、与田 凖一訳 岩波書店 1978年

 

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