ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 こすずめの ぼうけん 』-「もちちろん、なかまですとも」

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親子で読みたい 絵本です。
      ・・・
こすずめが、巣から飛び立つ日を むかえました。
おかあさんは、飛び方を 教えます。
「いしがきのうえまで いったら、きょうの おけいこは、それで おしまい」
      ・・・
「ぼくは ひとりで、せかいじゅうを みて こられる」
でも、
こすずめは、遠くまで行って、迷子になってしまいました。
すこしずつ 羽根が いたくなってきました。
      ・・・
楡の木の てっぺんに 
からすが います。
「やすませていただいて いいでしょうか?」
「おまえ、かあ、かあ、かあって、いえるかね?」
いいえ、ぼく、ちゅん、ちゅん、ちゅんっきり いえないんです
「じゃ、なかへ いれることは できないなあ」
 (ここから、くりかえし。)
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柊の木に 
山鳩が います。
「やすませていただいて いいでしょうか?」
「おまえさん、くう、くう、くうって、いえますか?」
「いいえ、ぼく、ちゅん、ちゅん、ちゅんっきり いえないんです」「じゃ、なかへ いれることは できませんね」
     ・・・
樫の木の幹の、あなに住んでいたのは、
ふくろう
ほうほう、ほうほうって、いえない こすずめは、
なかへ いれて もらえません。
     ・・・
さいごは、
かも
でも、なかまではないと言われ、
断られてしまいました。
     ・・・
あたりは、暗くなりはじめました。
ちいさい すずめは、もう 飛ぶことができません。
どうなることでしょう。
そこへ、むこうから、ぴょんぴょん、やってくる鳥がいます。
 (それは、もちろん)
おかあさんの すずめ。
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「わたしの せなかに おのり。いえまで おぶっていってあげるから」
それから、
巣に帰った こすずめは、
おかあさんの あたたかい づばさのしたで ねむりました
      ・・・
初めて空を飛んだ こすずめの冒険。こすずめに同化している子どもたちにとっても、不安がいっぱいの冒険です。おかあさんが登場するところで、内心ほっとしている子もいることでしょう。おかあさんは、こすずめを叱るのではなく、愛情豊かに包みこみます。また、こすずめの丁寧な言葉遣いも印象的です。石井桃子さんの美しい日本語です。
絵は、『ぐるんぱのようちえん』の堀内 誠一さんです。こすずめの目を大きく描き、愛らしさを強調しています。おかあさんの姿が、読者に安心感をあたえます。
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※『こすずめのぼうけん』 ルース・エインズワース作、堀内 誠一絵、石井 桃子訳、 福音館書店  1977年 (20117/6/1)

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