ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 か さ 』- 絵が語ります、絵から聞こえます

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文字のない 絵本です。
雨の中、
女の子が、おとうさんを 駅まで迎えにいくまでを 
絵が 語ります。
      ・・・
公園の わきを、
女の子が、赤いかさを さして、歩いています。
おおきな 黒いかさを かかえて。
池のそばで、あひるを 見たり
ともだちと すれ違い、
バイバイをしたり、
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いぬに 水を かけられ、
線路の橋を 越え、
ケーキ屋さんの前を 通り、
 ( おんなこは ケーキを食べたそうです )
歩道橋を わたり、
ショーウインドーの中の 人形も みています。
横断歩道で、信号が かわるのを まっています。
 ( 駅は、もうすぐ そこ )
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そして、
駅で待つ おとうさんに かさを わたします。
帰りに、ケーキを 買い、
おとうさんと いっしょに 帰ります。
     ・・・
さまざまな視点から 描かれた おんなこと 赤いかさ。墨一色のなかの赤が とても印象的です。
ちいさく描かれた 赤いかさ、
おおきく開いた 赤いかさ、
たたまれた 赤いかさ。
赤いかさは、おんなのこの心を 象徴しているようです
     
また、絵が、たくさんのことを 語ります。
「どこへ 行くのかな」、「おともだちと 何をはなしたのでしょう」、「バイバイしている」、「おとうさんの かさだよ」。子どもから、読み手から、 言葉 が 自然にうまれます。絵は、 ストーリー をふくらませます。絵から、雨の音、車や街のが聞こえます。おんなのこの こころ も、おとうさんの 人物像 も わかります。想像力で、さえ見えることでしょう。
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※『 かさ 』 太田大八 文研出版 1974年  (2017/11/26)

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