ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 かいじゅうたちの いるところ 』- 子どもの心のなかにある世界

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モーリス・センダックの代表作。
コルデコット賞受賞作品(1964年)で、ご存知の方も多いことでしょう。
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ある晩、
いたずらっこの マックスは、オオカミのぬいぐるみ を着て、大暴れ。
夕ごはん抜きで 寝室に 入れられてしまいます。
Go to your room !
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すると
寝室に、
にょきり にょきりと、木が生え、
どんどん 生えて、森や野原になり、
そこへ、
波が ざぶり ざぶりと 打ちよせてきます。
 ( ファンタジーの世界に 入っていきます。 )
1ねんと1にち 航海して マックスは、舟に乗って、かいじゅうたちのいるところへ
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りくちに つくと、
すごい声で 吠えたて、
歯を がちがちならし、
めだまは ぎょろぎょろ、
つめをむきだす たいじゅうたち。
マックスは、かいじゅうたちに 腹を立て どなります。
しずかに しろ!
魔法を使って、かいじゅうたちを かいならし、王様になるマックス。
「では みなのもの!」マックスは 大声をはりあげ、
「かいじゅうおどりを はじめよう!」
踊りだす マックスと かいじゅうたち。
 (踊りの3つの場面は、絵だけです。)
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でも、おかあさんが 恋しくなった マックス。
おいしい 匂いがしてきます、
マックスは 王様をやめ、
かいじゅうたちに 別れを告げました。
ふたたび、1ねんと1にち、ながい旅をして、もとの寝室に もどります。
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おはなしは、現実からファンタジー(異界)の世界にはいり、現実世界にもどる「行きて帰りし物語」 の典型です。最後の場面には「まだ ほかほかと あたたかかった」夕ごはんが、部屋に置いてあります。姿は見えませんが、やさしいおかあさんがいます。そこに安心感があります。そして、どこか愛嬌のあるかいじゅうたち。マックスをはじめ、魅力的な人物でいっぱいの絵本です。
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マックスの行動のなかに、子どもの願望、欲求が表現されているようです。いたずらとなって現れる子どもの 活動力と想像力、船に乗って旅する 冒険心、たまったエネルギーを 発散する踊り、かいじゅうたちを やり込める力、王さまになって思い通りにしたい気持ち、そしておかあさんに 愛されたい気持ち・・・。
やはり、名作絵本だと思います。
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※『 かいじゅうたちの いるところ 』 モーリス・センダック作 じんぐうてるお訳  冨山房  1975年  (2018/3/25)

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