ＬＤ （ 学習障害 ） について

教えられました。

作者の　自伝的な　おはなしです。

・・・

トリシャは、

絵を　描くことが　大好き。

でも、

文字も　　　

数字も　読めません。

・・・

１ねんせいに　なった　トリシャ。

でも、

学校に　いっても

字が　よめないのです。

あたまが　わるいのかな ？

と自問する　トリシャ。

・・・

おばあちゃん、

わたしって、みんなと　ちがう ？

もちろんだよ。   

       みんなと　ちがうってことは、

  　 いちばん　すてきなこと　じゃないか。

・・・

３ねんせい　になっても

やっぱり　だめ。

からかわれて、

トリシャの目に　涙が　あふれます。

ずるやすみも。

がっこうが　だいきらい　だったから。

・・・

５ねんせい　になって

フォルカー せんせいと　であいます。

トリシャの絵が　すばらしいと

ほめてくれる　フォルカー せんせい。

・・・

でも、

いじめに　あう　トリシャ。

「 うすのろもぐら！ 　ばかもぐら！ 」

かいだんした　かくれる　トリシャ。

なきじゃくる　トリシャが　います。

・・・

きみは　かならず　よめるようになる。  

　　　やくそく　するよ。

・・・

フォルカー せんせいと、

こくごの　プレジーせんせいと

３にんで

放課後の　特訓が　はじまりました。

ことばが　だんだん　よめるようになる

トリシャ。

でも、

まだ　文をつなげて　よめません。

・・・

なんかげつか　たってから、

しんじられ ない。

まほう みたい ！

あたまのなかに　ひかりが　 　

ぱあっと　さしこんだ ！

トリシャは、本に

なにが　かいてあるのか、ぜんぶ　わかったのです。

・・・

いえにかえった　　トリシャ。

ハチミツを　本の表紙に　たらします。

・・・

　はちみつは　あま－い。

　　　本も　あま－い。

　　　よめば　よむほど　あまくなる ！

・・・

その　儀式は、

５歳のとき、おじいちゃんが　してくれたことでした。

そして、

うれしくて

うれしくて　たまらないときも

なみだって　ながれるんだ、

とおもうのです。

・・・

トリシャの　心の声が　きこえます。

苦悩 と

葛藤 が　みえます。

そして、

よろこび が　感動的 です。

子どもの　可能性を

ひらくとは　なにかを　教えられました。

信頼し、

はげまし、

あきらめずに　じっと待つことも。

「 ありがとう、トリシャ 」。

・・・

『 ありがとう、フォルカー せんせい 』　パトリシア・ポラッコ作・絵　 　香咲弥須子訳    岩崎書店     2001年

【追記】

あとがきで、上野一彦氏が、ＬＤについて、次のように書いています。

「勉強面の どこかに苦手な部分をもつのですが、それはできないというよより、 できるようになるのに時間がかかる、みんなとは ちがったやり方でないと あたまのなかに入りにくい、といった特徴なのです。できないところがあるかと思えば、みんなと同じようにできたり、すごく得意な部分もあったりするものですから、なかなか理解されにくいわけです。」