ふるはしかずおの絵本ブログ3

『笛ふきイワーヌシカ』- 笑い声が聞こえてくる

ロシアの昔話です。

      ・・・

笛が吹くことが大好きな少年イワーヌシカ

 悲しい曲では、みんな 涙をこぼす。

 踊りの曲では、みんな 踊りだす

      ・・・

すこし大きくなると、イワーヌシカは言いました。

「とうさん、かあさん、ぼくはどこかでやとってもらって、はたらくことにするよ」

そして、

羊飼いの仕事を見つけました。

  

でも、

欲深い主人は言います。

羊飼いの仕事がちゃんとつとまったら、給金は2倍。

でも、

ひつじが一頭でもいなくなったら給金なしで追いだす」と。

   

3ヶ月がすぎました。

ひつじは、元の数のまま。

2倍の給金を払わなくてはならない!

主人は、

その秘密を探ろうと、ひつじの毛皮を着て、ひつじ小屋に忍び込みます。

日がのぼると、

イワーヌシカが、羊を追いはじます。

毛皮の主人も「メエ、メエ、メエ! メエ、メエ、メエ!」

イワーヌシカは、

主人が羊に変装していることに気がつきました。


そこで、

ひつじたちが、草を食べおわると、

「おまえたち・・・ひとおどりしようか」

イワーヌシカが笛を吹きはじめました。

ひつじたちは、飛びはねたり、ひずめをならして踊ります。

主人も踊りだします

もう、どうにもとまりません。

「イワーヌシカ、笛をふくのはやめてくれ! もう、だめだ!」

       ・・・

       

家に帰ると、

おかみさんは、いいます。

「わたしは、おどらされたりしませんからね」

でも、イワーヌシカが笛を吹くと、

おかみさんは踊りだしました

ねこも踊り、

隠れていた主人も踊りだします。

牛も、

うまも、

ひつじも、

にわとりも、

ぶたも踊りだします。

   

朝がくると、

イワーヌシカはお給金をもらって、

おとうさんとおかあさんのもとにかえっていきました。

イワーヌシカが笛をふくと、みんなが踊りだす場面がたのしい絵本です。その様子を想像すると笑えます。自然と体も動きます。こうしたところは、子どもの喜ぶところでしょう。


『 笛ふきイワーヌシカ 』は、欲深い主人とおかみさんが懲らしめられるはなしでしたが、その懲らしめ方に面白さがありました。力による罰ではなく「踊り続ける」という罰をあたえるところに、民衆の知恵とユーモアを感じます。笑い話として読みました。

また、ワレーリー・ワシーリエフの絵は独特ですが、民族衣装や風景がいかにもロシア的です。

     ・・・

※『 笛ふきイワーヌシカ 』ミハエル・ブラートフ再話、ワレーリー・ワシーリエフ絵、松谷さやか訳、偕成社、2001年  (2020/6/27)

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