ふるはしかずおの絵本ブログ3

『マトリョーシカちゃん』- あらあら、つぎつぎに

マトリョーシカ人形のことは、みなさん、よくご存知のことと思います。マトリョーシカ人形の特性を生かしたおはなしです。

       ・・・

お人形のマトリョーシカちゃんは、

お客さんを家によぶことにします。

彼女は、いいことを思いつきました。

 (いいこととは何でしょうか。読者への仕掛けです。)

そこで――

マトリョーシカちゃんは、家の外にこんな紙をはりだします。

     

 みちを とおる みなさん。

 どうか わたしの ところへ

 あそびに きてください。

 ドナーシャも クラーシャも

 ダーシャも まっています。

       マトリョーシカ

     

まもなく――

お客さんの人形たちがやってきました。

ばしめは ユラユラ人形の イワンちゃん

つぎは  ドングリ人形の イリューシャちゃん

つづいて おしゃれ人形の アンドリューシャ

馬車で やってきたのは  ペトリューシャ。 

 (ここがくりかえし)

      ・・・

しかし、家にはマトリョーシカちゃんしかいません。

マトリョーシカは、

すぐに

ドナーシャ

クラーシャ

ダーシャが あらわれるから 待ってくださいと言います。

しかし、

みんなは嘘をつかれたと思い、怒ってしまいました。

「だましたりしませんよ。なぜなら、ほら このとおり」

そういって――

マトリョーシカ人形の、上の方をひらくと

ダーシャがあらわれ、 ダーシャの中から、

クラーシャがあらわれ、クラーシャの中から、

ドナーシャちゃんが  あらわれました。

      ・・・

そして――

イワンちゃんと   ドナーシャちゃん

イリューシャと   クラーシャちゃん

アンドリューシャと ダーシャちゃん

ペトリューシャと  マトリョーシカちゃんが

組になって――

      ・・・

みんなで

踊ったり、

歌ったり、

おしゃべりして

みんなで楽しくすごしました。

マトリョーシカちゃんの家にやった来た人形たちは、みんな、自分と同じ大きさのお友達(マトリョーシカ人形)を見つけることができました。みなさんは、マトリョーシカ人形のことをご存知のことでしょう。ですから、おはなしの展開が見えたかもしれません。でも、子どもはマトリョーシカ人形を知りません。人形の中から、つぎつぎに人形が出てくるというのは、子どもには驚きであり、不思議なことです。マトリョーシカ人形を知らない読者が想定される聞き手です。

   

表現の方法のことを言いますと、この絵本に特徴的なことは、ダッシュ( ― )がたくさん使われていることです。「まもなく―、そういっているところへ ―、 そうしているところへ―、そうこうしているところへ ―、そこで ―、いくと ―、そういって ―、おどろいたことに ―、 そして―、 くみになって―」です。ダッシュ( ― )があってページが変わります。ダッシュ( ― )が「間」を作ります。また、次への期待を高めます。紙芝居の仕掛けのようです。ここだけを読んでも、おはなしがわかるような気がします。

      ・・・

※『 マトリョーシカちゃん 』 加古里子作・絵、福音館書店 1992年  (2020/2/4)

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