ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ボヨンボヨンだいおうのおはなし』-楽しいオノマトペ

子どもがしたいことをする、おうさまが登場します。

 

      ・・・

平和な国のおうさま・・・

でも、忙しすぎて、

わらったり、遊んだりする暇もありません。

友達もいません。

国の問題が気になり、夜も眠れません。

 (ストレスがいっぱいのおうさまです)

    ・・・

ある晩、

おうさまは、

ベッドの柱によじのぼり、

いきおいよく飛び降りてみました。

ボヨーン、バヨーン、ボヨヨーン、バヨヨーン。

飛び跳ねるごとに、

心配事がひとつずつ消えていきました。

そして、スヤスヤ眠りました。

でも、おせっかいな大臣が、その様子をこっそり見てしまったのです。

つぎの日、

みんなはヒソヒソ。コソコソ。

おうさまの噂でもちきりでした。

大臣は、

ベッドで飛び跳ねることを禁止しました。

おうさまでも、ベッドで飛び跳ねることはダメ。

 

おうさまは もう眠ることができません。

とうとう、病気になってしまいました。

おうさまの命は今にも消えようとしています。

もういちどだけ わしを ベッドのうえで はねさせてくれ

      ・・・

おうさまは、ベッドに

ボヨン バヨンと跳びはねました。

すると、どうでしょう。

おうさまは笑い出し、

ボヨンと跳びはねるたび、

うれしくなり、どんどん元気になりました。

      ・・・

それからは、お医者さんも、大臣も、城のなかの全員が、国中のひとが、ひとり残らず

ボヨーン バヨーン。

だれもが笑い、うれしそうに叫びます。

「おうさま バンザイ! ボヨンボヨンだいおう、バンザーイ!」

ボヨーン、バヨーン、ボヨヨーン、バヨヨーン。

音読してみますと、とても楽しい雰囲気になります。 ユーモアが生まれます。 笑えます。このオノマトペはベッドで跳ねる音を言い表わした言葉ですが、おうさまの心も表現しています。主観と客観が表裏一体となった表現、コインの表と裏のような関係です。

また、コラージュによる絵は、子どもたちの創作方法として参考になります。

 

角を矯めて牛を殺す」ことなかれ。(※)

       ・・・

※『ボヨンボヨンだいおうのおはなし』 ヘルメ・ハイネ作・絵、ふしみみさお訳、朔北社  2006年

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【 追 記 】

(※) 《牛の曲がっている角をまっすぐに直そうとして、かえって牛を死なせてしまうことから》小さな欠点を直そうとして、かえって全体をだめにしてしまうたとえ。 『デジタル大辞泉』   (2021/7/23)

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