ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ブレーメンのおんがくたい』- 人物の呼称の変化のおもしろさ

有名なグリム童話です。

登場人物は、

ろば、

いぬ、

ねこ、

おんどり、

そして、どろぼうです。

ろば、いぬ、ねこは、年をとり、飼い主に見捨てられます。

おんどりは、スープにされてしまうところでした。

      ・ ・・

ろばは、いぬを誘い、

ろばといぬは、ねこを誘い、

ろばといぬとねこは、おんどりを誘って

「ブレーメンに行こう・・・そこで音楽隊に入ろう」とします。

       ・・・

たどり着いたのは、どろぼうの家。

どろぼうたちは、ご馳走を食べています。

みんなは、どろぼうを追いだそうと知恵をしぼり、

いい考えを思いつきました。

それは・・・

      ・・・

ろばが 窓に 足をかけ、

いぬが ろばの背中に とびのり、

ねこが いぬの背中に よじのぼり、

おんどりが ねこの頭に とまります。

そして、音楽をはじめます。

ひんひん、

わんわん、

にぁあにぁあ、

こけこっこう。

みんなは叫びながら、部屋の中に なだれ込みます。

どろぼうは、森の中へ 逃げていきました。

四人の仲間は、ご馳走を食べ、好きな寝床でねむりました。

 (これでおしまい?)

      ・・・

どろぼうのひとりが、帰ってきました。

しかし、

ねこは、ひっかき、

いぬは、足にかみつき、

ろばは どろぼうをけっとばしました。

おんどりは、屋根の上から「こけこっこう!」

      ・・・

どろぼうたちは、二度と、この家に寄りつきませんでした。

四人のおんがくかたちは、二度と、この家をはなれませんでした。

登場人物の呼称の変化について書いてみます。

ろば、いぬ、ねこ、おんどりは、それぞれ別の呼び名があります。あしげくん、かみつきやくん、ひげふきばあさん、あかあたまくん、と呼ばれています。

語り手は、三にんぐみ、四にん、四人のなかまたち、四にんの おんがくかたちと呼び方を変化させています。

また、泥棒にとって、ろば、いぬ、ねこ、おんどりは「あくまのばあさん」「ナイフをもった おとこ」「まっくろおばけ」「さいばんかん」です。人物のいろいろな呼び方とその変化がおもしろい。また、それがおはなしの筋を語っています。

   

異なる場所で、別々な生活をしていた、ろば、いぬ、ねこ、おんどりが、「四人のなかまたち」となり「四にんの おんがくかたち」になりました。「ブレーメンの音楽隊」の絵本は数多くありますが、フィッシャー(1909~1958)の絵と瀬田貞二(1916~1979)の訳のこの絵本を選びました。

       ・・・

※『ブレーメンのおんがくたい』 グリム童話、ハンス・フィッシャー絵、瀬田貞二訳、福音館書店 1964年

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