ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ファーブル昆虫記の虫たち(1)』- 「私は虫や花のことばのわかる画家になりたかった」

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ファーブル昆虫記の世界を描きあげた絵本です。
虫と草花の精密な絵にびっくりします。
また、虫たちの生態をやさしく説明しています。
      ・・・
ハナムグリ
リラの花まつりとキイロハナムグリ
花まつりのお客さま 
バラのゆりかご
ナシのレストラン
枯れ葉の山へ産卵飛行
腐葉土の中の生活
     ・・・
センチコガネ
ふんのそうじ屋
ふんの腸づめ
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オオクジャクサン(ここは全文を引用します。) 
     
 わたしたちオオクジャクサンは、
 アーモンドの根元につくられた茶色の部屋をやぶって
 うまれてきました。 
 神さまの教えのとおり、
 おいしいアーモンドの葉をたべて 
 おおきくなりました。
 人間たちはわたしたちを害虫といって殺します。
 わたしたちは神さまの教えを守っているのに、 
 わたしたちは神様に決められたものだけを
 食べているのに、 
 どうして悪者なんでしょう。
 害虫だなんて…。

     
夜間飛行
メスに集まるオスb
陽光を浴びて・・・
はばたく日まで
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鋭い観察眼。でも、その視線のなかに画家のあたたかい目と心を感じます。昆虫と花の写実的で細密な絵は、画家と対象が一体になったすがたです。また、画家にとって、美は主観・客観の相関関係の中から生まれます。熊田千佳慕さんは、これらのことを簡潔に表現しています。
     
 私は 虫・虫は 私
 自然は 愛するから 美しいのだ

     
※『ファーブル昆虫記の虫たち(1)』 熊田 千佳慕作・絵 小学館 1998年
【 追 記 】
『ファーブル昆虫記の虫たち』は全5巻。巻末に解説もあります。熊田千佳慕さん(1911年~2009年)のライフワークです。昆虫記であり、昆虫誌、昆虫詩です。 (2017/1/27)

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