ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ジローとぼく』-ふたりが入かわる

ジローは、ぼくが拾った犬

ぼくとジローは、いつもいっしょに眠ります。

そうした2人が入れ替わってしまうおはなしです。

ぼくの視点から書かれています。

    ・・・

ぼくとおとうさんは、ジローの家をつくります。

その夜、

はじめて離れ離れで寝ることになりました。

「ウォーン」「ウォーン」と泣いているジロー。

ぼくは、

庭にあるジローの家でいっしょに眠ります。

     ・・・

朝になると、

ぼくはびっくり。

ジローが、ぼくの朝ごはんを食べています

ぼくが、部屋に上がると

おとうさんが、ぼくに向かって

こら ジロー!

ええっ。

ぼくが 犬のジローなの?

 (ふたりは入れ替わってしまいました。)

     ・・・

でも、宿題はなし。妹と遊ばなくてもいい ぼく。

犬のジローは、家で肩たたきをしています。

おとうさんとプロレスをしています。

「なかなかやるじゃん」とぼく。

ニタニタするジロー。

     ・・・

ジローの家で寝るぼく。

ジローがやって来ます。

すごくすごくうれしい ぼくです。

次の朝、

すべて 元通りになりました。

ぼくは ぼくに もどったんだ

でも、いまも、ぼくはジローとずっといっしょに寝ています。

転校生』(大林宣彦監督)という映画があります。

山中恒の児童文学「おれがあいつで あいつがおれで」が原作の映画です。転校生の一美(小林聡美)と一夫(尾美としのり)が、誤って石段を落ちてしまい、2人の身体は入れ替わってしまいました。一美と一夫はお互いの体に戸惑い嫌悪感を覚えながらも、やがて異性として相手への理解を深めていくという映画です。

      

ジローとぼくも同様です。相手の身になって、相手の心を理解します。一美と一夫、ジローとぼくのようなことは現実には起こりませんが、虚構の世界ではこのようなことが可能です。

虚構の世界は現実を逆照射します。人物が入かわることで、日常とは違った目からものごとを見ます。そのことで新たな世界が見えてきます。

      ・・・

※『ジローとぼく』 大島妙子作・絵、偕成社 1999年  (2019/11/22)

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