ふるはしかずおの絵本ブログ3

『シルム』- 決勝戦の熱気がつたわる

シルムとは、韓国のすもうです。

その決勝戦の様子を迫力ある絵で描きます。

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端午の節句

川辺のの砂地に

見物客がおしよせます。

シルムの大会が開かれます。

     ・・・

出てきたのは、赤のチャンサ(力士)。

 うおっ

 山のように でっかい!

いっぽう、

出てきたのは、青のチャンサ。

 おや、

 なつめの実ほど ちっちゃい!

      ・・・

青のサッパ(まわし)、赤のサッパを締め、

おじぎをして、くみあい、相手のサッパをつんかだら、

いざ、勝負!

 ふんっ!

 ありゃっ!

 おっしゃ!

 ひゅう!

 おおっ!

 よしゃ!

息は はあはあ。

あぶら汗 たらたら。

見守るひとも つばをのみこむ、ごくり。

うりゃっ みてろ!

勝負あったか?

ふんばる ふんばる ふんばる!

どたーん

      ・・・

やったあ、やったあ!

勝ったのは、ちっちゃいチョンサ、青のチョンサ。

どら、たいこ、つづみ、かね、らっぱが鳴る。

天下一の チャンサさま、

ぐっと酒を飲みほし、

みんなに頭をさげたら、

家まで 行進だ!

あっぱれ、おみごと! チャンサさま。

歓声があがり、チャンサ(力士)と観客が一体化している様子が絵からつたわってきます。「シルム」は古い昔から親しまれてきた伝統的な競技です。もち、飴、クッパといった食べ物、ノリゲ(衣服の装飾品)、靴などの雑貨を売る露天もでます。村中の人たちがあつまり、ひとつになる「祝祭」の場でした。

   

イ・スンヒョンさんの絵は、デフォルメがきいていて、決勝戦の熱気を力強く表現しています。ありゃ、おっしゃ、ひゅう、よっしゃの言葉で、こちらまで力が入ります。また、群衆のひとりひとりの顔の表情や姿が丁寧に描かれています。かれらの顔を見る楽しみもあります。日本の相撲とは、サッパ(まわし)をつかんで始まるところが違うようです。

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※『シルム』キム・ジャンソン作、イ・スンヒョン絵、ホン・カズミ訳、岩崎書店、2011年  (2020/2/13)

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