ふるはしかずおの絵本ブログ3

『オリビア』- 「ほんとに あんたには へとへとよ」

オリビアって、表紙のおんなのこです。どんな子どもなのでしようか。

      ・・・     

さかだち、

ヨーヨー、

ジャンプ、ボール、

かけっこ、

縄跳び・・・

何でもします。

オリビアは、人をへとへとにさせるのが得意。

そして、自分まで へとへと。

 (あるある!)

    ・・・

イアンという弟がいます。

でも、

うるさい、とイアンをおいはらう オリビア。

服を着るとき、ぜんぶ試さないと気がすまない 

オリビア。

 (あるある!)

海辺で、砂のお城を上手に作るようになる。

お昼寝が 大嫌い。

美術館が 好き。

お気に入りの絵がある。

 ドガの踊り子

わけのわからない絵がある。

 ジャクソン・ポロックの絵

ポロックを真似して、

自分の部屋で落書きして、しかられる。

お風呂、ばんごはんのあとは、寝る時間。

     ・・・

絵本がだいすきな オリビア。

かあさんに3冊の絵本を読んでもらいます。

かあさんは、オリビアにキスしていいます。

ほんとに あんたには へとへとよ。でも なんてったって あいしているからね

「あたしもよ、なんてたって」

おやすみ・・・

天真爛漫なオリビアの魅力がいっぱいの絵本です。
「ほんもののオリビアとイアンへ」の献辞とあります。ふたりは作者・ファルコナーさんのお子さんでしょう。こぶたのオリビアのモデルは、お気づきのように、きっと「ほんもののオリビア」です。オリビアを見守る、おはなしの中のとうさん、かあさん、弟のイアン、語り手と作者、そして虚構の世界の外にいる実際の両親。人々の温かい目とこころに囲まれたオリビアの世界です。

      ・・・

おとなの読者は、オリビアの行動を「あるある」と共感し、見守り、そしてちょぴりハラハラしながら、つまり、異化して読んでいくことでしょう。子どもは? オリビアに同化して「オリビアみたいに、やってみたい」でしょうか。でも、同化だけ、異化だけということでもないでしょう。読者のする体験は、両者がないまぜになった「共体験」です。

      ・・・

※『オリビア』イアン・ファルコナー作・絵、谷川俊太郎訳、あすなろ書房 2001年  (2019/12/20)

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