ふるはしかずおの絵本ブログ3

『はる・なつ・あき・ふゆ いろいろのいえ』-この家族、すてきです

ロジャー・デュボアザン(1904 – 1980 )のおしゃれな絵本(1956年)です。

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スージー、

ビリー、

お母さん、

お父さん。

4人家族が、いなかで古い家を買いました

 鎧戸は ぶらぶら、

 石段は ぐらぐら、

 雨樋は さびさび。

 屋根裏には 年よりフクロウがすんでいます。

     ・・・

鎧戸は、大工さんが なおし、

石段は、左官屋さんが つけなおし、

雨樋は、ブリキ屋さんが 新しくしました。

でも、フクロウは、去っていきました。

ペンキもぬりなおさなくっちゃ」とお父さん。

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家族は、

みんな好きな色をいいます。

 あかい家、みどりの鎧戸は、スージーの希望(春のイメージ)。

 「すごく、きれいになるわよ」

 黄色の家、むらさきの鎧戸は、ビリィの提案(夏のイメージ)。

 「すごく、めだつはずたよ」。

 茶色の家、あおの鎧戸は、お母さん(秋のイメージ)。

 「いかすと おもうわ」

 オレンジの家、みどりの鎧戸は、お父さん(冬のイメージ)。

 「クリスマスツリーみたいにさ」

ひとりひとりが 

自分の色を 塗ることにします。

しかし、金物店にいくと、赤と青と黄色のペンキしかありません。

お父さんがいいます。

3つの いろが あれば、いろいろ できるところを 見せてあげるよ

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お父さんは、色を混ぜ合わせ、

みどり、

オレンジ、

むらさき、

茶色をつくります。

べつの やりかたで やれば、もっと おもしろいことが おこるんだよ

 (下の絵をご覧ください。)

円盤が周りはじめると・・・

あかと あおと きいろは 消えていきました。

円盤は、白くなりました。

「見ただろう。このしくみは しろが あらゆるいろから できていることを しめしている。・・・しろを ぬろうよ すべての いろが ふくまれているから」

     ・・・

みんなが塗った しろい家に

小鳥たちが、飛んできました。

あのフクロウも、もどってきました。

家族みんなで意見を出し合い、力を合わせて古い家を直していきます。大工さん、左官屋さん、ブリキ屋さんも加わります。家族の会話は書ききれませんでしたが、していることを見るだけでも、すてきな家族であることがわかります。

   

しろい色の秘密を分かりました。「しろが あらゆるいろから できている」というおとうさんの言葉は象徴的です。しろい色の家は、家族がひとつになっていることを表現しています。古い家を大切にしてみんなで再生するおはなしでしたが、「もの・こと」に対するわたしたちのあり方に問いを投げかけているようにも思います。

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※『 はる・なつ・あき・ふゆ  いろいろのいえ 』 ロジャー・デュボアザン作・絵、やましたはるお訳、BL出版 (2020/2/17)

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