ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ねぼすけ はとどけい』- ほのぼのとしたユーモア

ユーモアがあって、ほのぼのとしたおはなしです。

      ・・・

スイスの小さな時計屋さん。

はと時計でいっぱいです。

123個のはと時計が「ボン」と鳴ると、

時計のなかのはとが 、いっせいに 飛び出してきます。

1じのときは「ポッポー」。

2じのときは「ポッポー」「ポッポー」。

      ・・・

でも、

1羽のはとだけ、飛びだすのが遅れるのです。

1分遅れて「ポッポー」。

村の子どもたちは、学校の帰り道、それを楽しみにしています。

時計屋さんは「いつか きっと なおそう」と考えています。

      ・・・

ある日

ガラビア国の王さまが、村にやってきました。

王さまは、

お土産にするために、

123個のはと時計をみんな買い上げます。

 ( あのはと時計は? )

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は 20190328_103607-2-1024x643.jpg です

やっぱり、

1分遅れて「ポッポー」となくのです
王様は怒りました。

時計屋さんは、つぎの日の10時までに直すと約束します。

    ・・・

でも、どうして直したらいいのでしょう。

ぜんまい、

歯車、

ゴミ。

原因はどれでもありません。

とうとう、しまいには、はとは全然出てこなくなりました。

「すっかり こわしてしまった」と時計屋のおじいさんは悲しくなりました。

     ・・・

おじいさんは、ちいさな扉を開いてみます。

そこには、ちいさなはと がいます。

なんということでしよう! 

はとは、ぐっすり寝こんでいたのです。( Σ(´∀`;)

おじいさんは、

かんがえて 

かんがえて 

かんがえていい考えがうかびました。

 ( どうするの? )

     ・・・

つぎの日、王さまがやってきました。

10時1分前。

さあ・・・、いよいよ・・・

10時です。

すると、どのはと時計もいっせいに、声をそろえて鳴きました。

「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」

王さまは満足して帰ります。

 ( どうやって直したの? )

おじいさんは、ちいさな扉をひらいて、子どもたちに種明かしをします。寝ぼすけのはとが、毎時間、1分はやく起きるように、ちいさな目覚まし時計を仕掛けておいたのです。この時計は王さまには売りませんでした。

どうしてかって? 

この小さな時計のネジをまけるのは、おじいさんだけだったからです。

      

この ひみつを しっている人は、村の子どもたちと おじいさんと、そして この本を よんだ あなただけです。」

  (こんなおはなし、わたし、好き!)      

      ・・・

時計屋のおじいさん、はと時計を見にくる子どもたちが優しく、全体にほのぼのとした雰囲気がいっぱいです。はと時計のはとが寝ぼすけだと設定が笑えます。ユーモアの感覚を育てます。また、最後の文「この ひみつを しっている人は…… 」を引用しましたが、秘密を知っているのあなただけですよと言われて、読者もきっと満足することでしょう。洒落ています。( )の言葉は女の子のつぶやきです。つぶやきで参加してくれた彼女も気にいってくれたようです。

初版は1962年。童話として出版されましたので、すこし長いおはなしです。あらすじの紹介はかなり端折りました。絵本の出版は2007年。
      ・・・

※『 ねぼすけ はとどけい 』 ルイス・スロポドキン作・絵、くりやがわけいこ訳 偕成社 2007年  (2019/6/4)

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