ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ねずみのとうさんアナトール』-みんなに喜ばれる幸せ

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「アナトール、工場へ行く」というタイトルで、小学校4年生の国語の教科書に載った絵本です。

主人公の アナトールは、フランスで いちばん幸せな ねずみ
でも、なぜでしょうか?

       ・・・
妻のドーセットと6人の子どもたちと暮らしている アナトール。
毎日、夕やみがせまると、

アナトールたちは、自転車で パリ へ。
食べ物をさがしにでかけます。
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ある夜、
ねずみのアナトールは、人間の言葉を耳にしました。
「なんていやらしい ねずみだこと!」
「ねずみは、生まれつき悪なんだ!」
アナトールは、大ショック。

  ぼくの 自尊心はどうなるの ?
  ぼくの ほこりは ?
  ぼくの めいよは ?

友人のガストンは、肩をすくめて 言います。

  そんなものわすれちまいな、アナトール。
  それが 人生ってものさ

   ( C’est la vie と言ったんでしょうね。 )

      ・・・

なにか、お返しができればいいんだけど
奥さんのドーセットの言葉に、アイディアが浮かびました。
夜、
アナトールは、デュバルチーズ工場へ忍びこみます。
さいこうに おいしい
とても おいしい
おいしい
あまり おいしくない
まずい すてなさい!
カードをもって。

      ・・・
アナトールだけができる仕事。それは、チーズの味見役。
アナトールは、チーズの試食室で、カードをチーズにさしていきます。
009
カマンベール、
うーん、これは かくべつだ!
さいこうにおいしい のカードを ピンでさしました。
その後、デュバルさんのチーズ工場は大繁盛。

      ・・・

奥さんのドーセットと子どもたちは 言います。
あなたは、世界一 賢明な ねずみだわ !
とうさん えらいんだ !
・・・
りっぱな 仕事ねずみなんだね !
みんなに喜ばれることは、彼にとって最大の報酬であり一番の幸せです。

      ・・・

※『ねずみのとうさんアナトール』 イブ・タイタス文  ポール・ガルドン絵  晴海耕平訳  童話館  1995年


【 追 記 】
光村図書の「国語」の教科書(4年上)のものは田谷多枝子訳です。「アナトール、工場へ行く」というタイトルで、平成4年~平成11年まで掲載されました。


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