ふるはしかずおの絵本ブログ3

『どうぶつたちはしっている』-何を知っているのでしょうか

写真家イーラとマーガレット・ワイズ・ブラウンのコンビによる写真絵本の第1作(1944)です。表情豊かなどうぶつたちの写真と詩的な文章の絵本です。

   

        ・・・

どうぶつたちは みました!

最初に見たのは アシカ。

シカも見ました。

おんどりも。

こねこも。 

 (なにを見たのでしょうか? 読者は知りません。)

 

しろくまは、まだ見ていません。

でも、

カバは ばっちり 見ました。

こいぬは びっくり。

 (典型的な「人物は知っているのに、読者は知らない」パターン)

あかちゃんたちは、お母さんの腕のなかで、見ました。

こねこ。

サル。

こうしも、見ました。

 (いったい、みんな なにを見たのでしょうか)

うまも

うさぎも

りすたちも

2頭のきりんも 見ました!

その正体は?

     ・・・

これです!

黄金のつばさをもつ 灰色のぞう

連続した写真は、数珠玉のように繋がっています。

イーラの写真をもとに、マーガレット・ワイズ・ブラウンが文をつけました。動物たちのひとつひとつの写真に言葉と文が与えられています。意味づけられたことで、動物たちの写真はさらに生き生きとしています。

     

おはなしはひとつの焦点・結論にむかっていきます。その焦点にあるのは「黄金のつばさをもつ灰色のぞう」。動物たちが何を見ていたのか、読者は気になっていましたが、動物たちの視線の先にあったのは、この「ぞう」でした。ユーモアと笑い、ナンセンスの味わいもあります。

 

絵本は最後に言っています。

    

 おうごんの つばさをもつ 

 はいいろの ぞうが

 ドシン ドシンと やってくる

 こんなことが あるんだから

 どんなことだって あるんです 

     

同感です。

     ・・・

※『どうぶつたちはしっている』 イーラ写真、マーガレット・ワイズ・ブラウン文、寺村麻耶子訳、文遊社 2014年  (2020/6/12)

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